生命理工学系 News

国内初のゲノム構築グループが発足

第一弾として大腸菌の人工ゲノム構築に着手

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2020.09.03

東京工業大学(以下「東工大」)生命理工学院 生命理工学系の相澤康則准教授(生命理工学コース主担当)らの研究グループは、東工大発ベンチャーの株式会社Logomix(以下「Logomix」)と共同で、バイオ技術による産業フロンティア(バイオエコノミー産業)創生のための創造性やインスピレーションを育む環境を構築するため、その第一歩として産業微生物のゲノム構築を産学連携で推進する「細菌ゲノムアーキテクトプロジェクト(BGAプロジェクト)」を開始しました。BGAプロジェクトは、特定の生物種のゲノム構築を目指す国内初の産学連携合成生物学プロジェクトです。

国内初のゲノム構築グループが発足(G-language Genome Analysis Environment による出力)

Credit: G-language Genome Analysis Environment別窓 による出力

背景

バイオエコノミー産業は、2030年までにOECD加盟国の全GDPの2.7%(約180兆円)の巨大市場へ成長が見込まれており(※)、その対象は環境・化学・素材分野から、農業・食品分野、そして健康・医療分野と多様な産業基盤に変化をもたらすことが想定されています。そのような時流の中、全ゲノム合成が完了した事例は世界でも増え始めており、世界では、酵母全ゲノム合成を進めるSc2.0、ゲノム合成技術の国際協調を進めるGP-write、中国で発足したGP-write Chinaといった組織によりゲノム構築が次々と進行しています。2010年に米国のJ.クレイグ・ベンター研究所によるマイコプラズマ全ゲノム合成に続いて、英国のケンブリッジ大学や韓国科学技術院(KAIST)が2019年に大腸菌全ゲノム合成を発表、2019年11月にはSc2.0が酵母全ゲノム合成を99%完了を宣言しています。

  1. 出所 : OECD 2009年「The Bioeconomy to 2030」、新エネルギー・産業技術総合研究機構(NEDO)作成資料

プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、第一弾として「大腸菌の人工ゲノム構築」を推し進めます。大腸菌は、バイオテクノロジーの黎明期から今日まで、プラスチック、薬、燃料など様々な物質生産に用いられている産業微生物の代表種の一つです。この大腸菌のさらなる産業的有用性を高めるべく、これまでにない新しい設計原理に基づいた大腸菌ゲノムを、東工大すずかけ台キャンパスに今秋新たに設置する研究施設である合成生物学ファウンダリーを活用して構築します。

本プロジェクトの運営は、東工大とLogomixが共同研究の形で推進します。DNAの合成および細胞導入プロセスの実行を東工大が担当し、ゲノム設計・合成プロトコールのデザインや、参画企業との個別テーマの設定、その他の事業化に関連する活動をLogomixが担当します。また、テクニカルアドバイザーとして、ニューヨーク大学遺伝システム研究所 所長のJef Boeke(ジェフ・ブーカ)教授を筆頭に、国内外の微生物研究の第一人者も参画します。

産業界からは、ヤマト科学株式会社、株式会社電通、長瀬産業株式会社、株式会社みらい創造機構、株式会社日立製作所、大阪サニタリー株式会社、株式会社日立ハイテクを含む計7社が参画します。本プロジェクトを通して、合成生物学産業における新事業シーズの探索、バイオ・非バイオの範疇を超えた様々な産業セクター間での産学連携ネットワークの構築、新バイオ産業創出に貢献する細胞ゲノム構築技術の成熟化を進めます。

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