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本学教員および本学学位取得者4名が第35回井上学術賞・井上研究奨励賞を受賞

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2019.01.07

東工大の教員2名および本学学位取得者2名が12月14日、公益財団法人井上科学振興財団(以下、井上財団)の第35回井上学術賞・井上研究奨励賞を受賞しました。

井上学術賞は、井上財団により自然科学の基礎的研究で特に顕著な業績を挙げた50歳未満(申込締切日時点)の研究者に対して授与されるもので、賞状および金メダル、副賞200万円が贈呈されます。第35回の同賞では、関係する38学会および井上財団の元選考委員や井上学術賞の過去の受賞者など164名に候補者の推薦を依頼、39件の推薦を受け選考委員会による選考を経て5件が採択されました。

井上研究奨励賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年間に博士の学位を取得した37歳未満(申込締切日時点)の研究者で、優れた博士論文を提出した研究者に対して授与されるもので、受賞者には賞状および銅メダル、副賞50万円が贈呈されます。今回は、関係243大学に候補者の推薦を依頼したうち48大学から140件の推薦があり、選考委員会における選考を経て40件が採択されました。

贈呈式は2019年2月4日(月)に開催される予定です。

上記の賞を受賞した東工大関係者は以下のとおりです。

井上学術賞

大場史康 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授

  • 受賞対象となった研究テーマ:計算科学に立脚した新電子材料探索に関する研究

大場史康 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授

この度、私が共同研究者の方々と推進してきました計算機中での新材料探索手法の開発とその応用による新しい電子材料の提案が、井上学術賞の対象になったことを大変光栄に存じます。本研究では、量子力学の基本原理に基づいた第一原理計算により、さまざまな候補物質の性質を多角的に評価して有望な物質を選び出したことが、赤色発光する新しい窒化物半導体等の提案と共同研究者の実験による実証につながりました。膨大な計算データを駆使する本アプローチは、更なる計算手法の進展やデータ科学手法との連携により、多様な分野における新物質・新材料探索の効率化や物質・材料の体系的な理解のための新しい視点の発見につながる可能性を秘めていると考えております。本研究は多くの方々の支援によりなされたものであり、この場をお借りして、ご指導いただいた先生方、共同研究者の方々、そして研究室のメンバーと家族に感謝申し上げます。この受賞を励みに、研究と教育に一層精励する所存です。今後ともご支援の程よろしくお願い申し上げます。

井上研究奨励賞

三木卓幸 生命理工学院 生命理工学系 助教(生命理工学コース主担当)

  • 受賞対象となった研究テーマ:新規化学修飾による蛋白質の機能解析とプロテオーム解析

三木卓幸 生命理工学院 生命理工学系 助教(生命理工学コース主担当)

博士後期課程では、蛋白質の化学修飾反応を分子生物学ツールに応用展開してきました。その1つに特定環境下の蛋白質群を同定する“条件的プロテオミクス”の開発があります。具体的には、亜鉛イオンに応じて活性化する反応基を開発し、生細胞内で高濃度の亜鉛イオン環境下に存在する蛋白質群を選択的かつ網羅的に標識化しました。これらを同定することで、未知であった亜鉛貯蔵小胞の正体を明らかにしました。ご指導いただきました京都大学の浜地格教授、苦楽を共にした全メンバー(特に夜な夜なビール片手に議論しあったメンバー)に深く感謝いたします。研究場所を京都大学、JSR株式会社、東工大と移し、これまでの研究にとらわれることなく、未知なる分野を楽しんで開拓していきます。

櫻井萌 日本学術振興会 特別研究員(岡山大学 惑星物質研究所、博士号の学位取得は東工大)

  • 受賞対象となった研究テーマ:地球上部マントル中の水素挙動に関する実験的研究

櫻井萌 日本学術振興会 特別研究員(岡山大学 惑星物質研究所、博士号の学位取得は東工大)

地球は水の惑星と呼ばれ、水の存在が生命の誕生を可能とし、他の惑星と違った現在の環境を得た一因と考えられています。

私はマルチアンビルプレスとダイアモンドアンビルセルという高圧発生装置を用いて、地球の深さおよそ410 km程度までの上部マントルと呼ばれる領域の高温高圧環境を実験室で再現し、鉱物中の水(水素)の挙動(位置)を明らかにすること目指して研究してきました。無水鉱物中に含まれる水というのは非常に量が少ない(数wt.ppm~数1000wt.ppm)にもかかわらず、融点の温度が急激に下がったり、軟らかくなったりと鉱物物性に大きな影響を与えます。また、含まれる量だけではなく、水素がどこに配置しているのかというミクロの問題が、マクロスケールの物性に影響を与えることから、水素配置とは鉱物学的な知見だけではなく、動的な物性変化に与える影響を予測するための指標となり、マントルダイナミクスの解明に極めて重要な知見を与えることが期待されています。

この度は、このような名誉ある賞をいただき大変光栄です。自由な研究環境を与えてくださった高橋栄一教授、研究室の垣根を越えご指導いただきました河村雄行教授、佐久間博主任研究員に心より感謝申し上げます。岡山大学惑星物質研究所HACTO(ハクト)グループの皆様、高圧地球科学分野の方々、研究生活を支えていただいた多くの方々に感謝しております。

山科雅裕 日本学術振興会 海外特別研究員(ケンブリッジ大学・化学科 博士研究員、博士号の学位取得は東工大)

  • 受賞対象となった研究テーマ:アントラセン環に囲まれた配位ナノ空間の特異なホスト機能

山科雅裕 日本学術振興会 海外特別研究員(ケンブリッジ大学・化学科 博士研究員、博士号の学位取得は東工大)

ナノメートルサイズの孤立空間に閉じ込められた分子は、通常の溶液中とは異なる挙動を示すことが知られています。本研究では、所属グループが開発した分子カプセルが有する「アントラセン環に囲まれた配位ナノ空間」に着目し、その分子内包によって発現する特異機能の開拓を行いました。博士後期課程3年間の研究で、分子認識、蛍光性制御や不安定分子の安定化など、従来のナノ空間とは異なり、空間を構築するアントラセン環の性質が強く反映された様々な特異現象を発見しました。ご指導いただきました本学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の吉沢道人准教授と穐田宗隆教授をはじめ、共同研究者の皆様および研究生活を支えていただいた方々に心より御礼申し上げます。本受賞を励みに今後も研究活動に精進してまいります。

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