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素粒子の統一理論の探求
物理学は、自然界に起きるさまざまな現象の中に法則性を見い出し、それを体系化していく学問です。その対象は、素粒子、原子核という極微のスケールから始まり、多彩な構造や性質をもつ原子レベルの物理、さらに我々を取り巻く宇宙まで、あらゆるものを対象にしています。物理学系の研究室では、そのほとんどすべての領域をカバーし、世界をリードする最先端の研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、素粒子の統一理論を探求する、伊藤研究室です。
素粒子理論、特に超対称ゲージ理論や超弦理論の理論的研究を行っています。超対称性とはボソン場とフェルミオン場を結び付ける対称性であり、超弦理論は、素粒子間に働く相互作用(電磁力、強い相互作用、弱い相互作用、重力)を統一する理論の有力な候補です。超対称性をもつ場の理論は力の統一理論を構築する上で重要であるのみならず、双対性等数理物理的に興味深い構造をもっています。
最近は、超対称ゲージ理論および超弦理論における非摂動効果や、ゲージ/重力対応と可積分模型の手法を用いた超対称ゲージ理論の強結合領域における物理を研究しています。
超弦理論や超対称ゲージ理論に関係する物理を様々な観点から研究しています。これまでの研究テーマとしては、2次元共形場理論(W代数等)、N=2超対称ゲージ理論における非摂動効果、特にオメガ背景場における超対称ゲージ理論の構成と変形されたソリトン解(インスタントン、モノポール)の構成、N=2低エネルギー有効理論の厳密解の構成(Seiberg-Witten 理論)、反ドジッター時空における超弦理論、非可換(超)時空上の場の理論の研究等があります。最近は、AdS/CFT対応と呼ばれる、ゲージ理論と重力理論の双対性を可積分模型の手法(熱力学的ベーテ仮説)を用いて検証しています。 特に、強結合領域におけるグルーオン散乱振幅やWilsonループを反ドジッター時空内の極小曲面から評価し、超対称ゲージ理論を厳密に解くことを目指しています。
教授 伊藤克司
E-mail : ito@th.phys.titech.ac.jp
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