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飯村壮史助教が令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞

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2020.06.11

飯村壮史助教(材料系 材料コース 主担当)が、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めたとして令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 「若手科学者賞」を受賞しました。

「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としています。令和2年度の受賞者数は97名です。

若手科学者賞

飯村壮史 元素戦略研究センター 助教

受賞業績:鉄系高温超伝導体の電子相図に関する研究

飯村壮史助教

飯村壮史助教

超伝導とはある臨界温度(Tc)以下において電気抵抗が完全にゼロになる現象です。2008年に1111型鉄系超伝導体REFeAsO1-xFx (RE=ランタノイド)において銅系に次ぐ高いTcが報告されて以降、Tcの更なる高温化と超伝導発現機構の解明を目指し、世界中で活発な研究が展開されました。しかし、合成とドーピング、結晶育成の困難さから、1111型の研究は次第に下火となってしまいました。

私は「水素の陰イオン」というこれまで物性物理において全く注目されてこなかったイオンを用いて1111型への高濃度電子ドーピングに成功し、鉄系最高温超伝導が二つの異なる反強磁性相の境界に生じることを見出しました。

本研究成果は鉄系の“多軌道性”、つまり複数の電子軌道が物性に寄与する、という特徴が顕著に表れた例であり、今後、新規高温超伝導体の候補物質として多軌道系が有望である事、さらに、候補を絞り込む上での具体的な指針を与えるものと期待されています。

本受賞は細野秀雄栄誉教授、松石聡准教授をはじめとするご指導いただいた先生方や共同研究者のご支援ご指導の賜物です。この場を借りて改めて深く感謝申し上げます。

(a, b) LaFeAsO1−xFxおよびSmFeAsO1−xHxの電子相図。(c, d)従来の鉄系超伝導発現モデルと我々が提案している協奏的スピン揺らぎによる鉄系高温超伝導発現モデル

(a, b) LaFeAsO1-xFxおよびSmFeAsO1-xHxの電子相図。(c, d) 従来の鉄系超伝導発現モデルと我々が提案している協奏的スピン揺らぎによる鉄系高温超伝導発現モデル

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