材料系 News

阿部研究室 ―研究室紹介 #47―

環境負荷低減化を目指した高分子材料の設計

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2017.02.14

材料系では「金属」「有機材料」「無機材料」の3つの分野にフォーカスし、独創的かつ挑戦的な研究・開発を推進しています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、高性能・高機能なバイオマスポリマーの高効率・精密合成を可能にする新たな合成技術を開発する、阿部研究室です。

特任教授 阿部英喜

無機材料分野
ライフエンジニアリングコース
研究室:理化学研究所(和光市)
特任教授 阿部英喜

研究分野 高分子合成 / 高分子構造 / 高分子反応 / 資源科学
キーワード バイオマス、高分子、生分解
Webサイト 理化学研究所バイオプラスチック研究チーム別窓
阿部英喜 - 研究者詳細情報(STAR Search)別窓

研究目的

これまでの高分子設計の考え方は、物質・材料の性能を最大化し、コストを最小化するという2つの目標を同時に達成することにありました。しかしながら、循環型の人間社会の形成が世界の課題となるにつれ、低コスト化と高性能化に加えて、環境負荷を低減するように高分子設計するという考え方が必要となっています。再生可能なバイオマス資源を原料として、高性能・高機能なバイオマスポリマーを創製することは、持続可能な高分子物質生産社会の構築の鍵となる技術開発であると考えられます。

研究テーマ

(1)バイオポリエステルの高性能化材料技術の開発

微生物のつくるバイオポリエステル(PHA)をターゲットとして、本来の性能・機能ポテンシャルを最大限に発現し、実材料としての利用を可能にする高度材料化技術の開発に取り組んでいます。

また、新たなPHA素材の創製を目指し、モノマーの連鎖構造を精密に制御した新規ポリマー合成技術の開発も進めています。液晶状態や高融点を示す新規 ポリマー素材を見つけ出すことに成功しています。

(2)バイオマス化合物群からの新規高分子素材の合成研究

PHAに続く新たなバイオプラスチック素材の創成を目指し、生物有機酸を原料とした新規ポリマーの合成技術の開発にも取り組んでいます。透明性に優れたバイオマス由来アクリル樹脂の開発もその成果の一つです。

リグニンは、セルロースやヘミセルロースとともに植物の20~30%を占める主要構成分子です。バイオマス由来含芳香族分子資源として、その有効利用が期待されています。リグニンの構造を活かしつつ、高性能・高機能なプラスチック材料へ、あるいは、その原料であるモノマーへと変換する技術を開発する必要があると考えています。リグニンの骨格構造を保持しまま、有用化学物質へとリグニンを分解する技術開発とともに、分解によって生成する芳香族系化合物を原料とした、新規芳香族ポリマーの創製を目指しています。

研究テーマ

以上のような研究課題を、理化学研究所のバイオプラスチック研究チームにおいて研究室のメンバーとともに精力的に推進しています。研究室には、理化学研究所のスタッフ、大学院生、学部生など約10名が在籍しています。

関連学会・研究会
高分子学会、日本化学会、エコマテリアル研究会、グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク

材料系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

特任教授 阿部英喜
E-mail : habe@riken.jp
Tel : 048-467-9394

※この内容は2016年4月発行の材料系 無機材料分野パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

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