材料系 News
機能性ナノ材料の創造と電子顕微鏡法開発
材料系では「金属」「有機材料」「無機材料」の3つの分野にフォーカスし、独創的かつ挑戦的な研究・開発を推進しています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、環境・エネルギー・バイオ・通信技術を飛躍的に向上させるような革新的機能性材料の創造を目指す、三宮研究室です。
金属分野
材料コース
研究室:すずかけ台キャンパス・J2棟1502号室
講師 三宮工
研究分野 | 透過型電子顕微鏡法 / カソードルミネセンス / プラズモニック材料 / 光学材料 / 金属ナノ材料 / 収差補正 / バイオセンサー |
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キーワード | 透過電子顕微鏡、ナノ光学材料、プラズモニクス、バイオセンサー |
Webサイト | 三宮研究室 三宮工 - 研究者詳細情報(STAR Search) |
自由電子は物質内の電荷移動を司り、電磁気特性・光学特性・力学特性・化学反応性など様々な機能発現に寄与します。これらの機能を最大限活用することで、コンパクトで高効率・省エネルギーな次世代のデバイスが実現できます。当研究室では、自由電子を多次元的(エネルギー+空間的)に制御することで、新機能を持つ材料創製を行っています。これらの材料は、環境・医療・通信・エネルギー変換など多くの分野へ応用可能です。また、材料評価手法にも力を入れており、特に透過電子顕微鏡(TEM)の研究、装置開発、手法開発も行っています。新たな「観る」道具から、新発見は生まれます。
新材料を創り、新手法で観て、新発見をすることが我々のテーマです。新機能材料の中でも、特にプラズモニック材料に主眼を置いています。プラズモニック材料はナノサイズに光を閉じ込め、高密度で省エネルギーな光回路や、微量の血液で癌診断の可能な高感度バイオセンサーを実現する可能性を持っています。このプラズモニック材料の設計にはナノサイズ構造制御と、光場の制御が必要となります。我々はナノ材料創製を行うとともに、計算や観察手法を駆使して、その特性を評価しています。更に、光観察手法、超高分解能電子顕微鏡法など各種電子顕微鏡手法も開発しています。企業や海外との共同研究も積極的に行っています。
金属材料をナノスケールに空間制御すると、自由電子の集団運動(プラズモン)が共鳴し特異な光学特性が発現します。プラズモン共鳴により、光をナノ空間に閉じ込めることで、癌マーカーやDNAなどの検出のためのバイオセンシング、高効率発光素子、光エネルギー変換、低損失計算回路への応用が可能となります。
材料作製、評価、観察し、電磁場シミュレーションから原理を探るなど、総合的なアプローチで、このような金属ナノ材料創製を行っています。プラズモニック材料のバイオセンサー・化学センサー応用などについて、海外の研究機関(スイス・スウェーデン等)との共同研究を多く行っています。
光速電子線を材料に照射すると、様々な波長の電磁波が発生します。特に可視光の波長を測定すれば、可視光の波長限界(数百nm)を超えて、光の場を観ることができます。このカソードルミネセンス(CL)と呼ばれる現象と、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)を組み合わせ、電子線分解能(~1 nm)で光機能材料の光電場分布や、光の放出特性、伝播波の分散の測定などを行っています。
材料開発において、原子スケールで物質の構造を可視化できる透過型電子顕微鏡(TEM)は必要不可欠のツールです。TEMは20世紀初頭に誕生して以来、現在も進化し続けています。我々は、TEMを基本とした新技術、新しい応用手法の開発も行っています。電子光学的な電子ビーム成形手法や、カソードルミネセンスを用いた光位相測定など電子線励起による材料機能の観察手法の開発、高周波加速などに取り組んでいます。
この「観る」技術の進歩は、材料開発の進歩そのものであり、ここから新しい科学が生まれます。これら電子顕微鏡の研究は、大学や研究機関だけでなく、企業とも共同で行っています。
材料系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
講師 三宮工
E-mail : sannomiya.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5674
※この内容は2016年4月発行の材料系 金属分野パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。