材料系 News
高温用材料に耐環境性能を付与する
材料系では「金属」「有機材料」「無機材料」の3つの分野にフォーカスし、独創的かつ挑戦的な研究・開発を推進しています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、熱さに負けない金属の美肌の追求、河村研究室です。
金属分野
材料コース
研究室:大岡山キャンパス・南8号館305号室
准教授 河村憲一
研究分野 | 固体酸化物燃料電池 / 金属の高温酸化 / 固体イオニクス |
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キーワード | 合金インターコネクト、表面酸素センサー、イオン導電性金属酸化物 |
Webサイト | 河村研究室 河村憲一 - 研究者詳細情報(STAR Search) |
金属光沢のあるフライパンを高温で空焼きすると表面がさびて色が付きます。良い「さび」ができると、「さび」が空気を遮断して金属素地がやせ細っていくのを遅らせてくれます。高温で使われる大部分の金属材料は、エネルギー変換に関わるものですから、この「さび」を制御するということがエネルギーの有効利用につながります。本研究室では、高温での「さび」の生成・成長過程を明らかにすることで、その機構解明、新材料開発を行っています。また、「さび」は金属が酸化した金属酸化物です。この金属酸化物の高温での特性を利用した機能性材料の開発も行っています。
研究室では、「エネルギーと地球環境の未来のために」を標榜し、高効率なエネルギー変換に必要とされる材料や、運用に必要になる基礎的データに関する研究を行っています。 研究の対象は、「高温で使用される金属およびセラミックス」です。 これらを高温環境で長く使用できるようにするため、金属とセラミックスの高温における機能性とその制御を高温固体化学、結晶格子欠陥などの立場から研究しています。
実験データの信頼性は、測定者が装置をどれだけ理解しているかに大きく依存します。 当研究室では自分の測定装置は自分で作ることを基本とし(図1)、原理原則から自分の行っている測定を理解できるようにしています。
金属材料は、高温の大気環境下などでは、表面が酸化され、徐々に金属としての部分が無くなっていきます。 当研究室では、金属材料が高温で酸化する過程(酸化機構)をより詳細に解明し(図2)、耐酸化特性の観点から高温の大気環境下でより安定に使用できる耐熱合金の設計指針を提案しています。
燃料電池は、環境負荷の少ない発電システムとして注目されています。 当研究室では、燃料電池の中でも最も高温で作動する固体酸化物型燃料電池(SOFC)に関する研究を行っています(図3)。SOFCにとって重要な構成部材である「合金インターコネクト」に特化し、使用環境における耐酸化特性を評価しています。
核燃料サイクルなどで発生する高レベル性放射性廃棄物の最終処分の負荷低減のため, 放加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発がすすめられています。 ここで冷却剤として用いられる溶融金属と配管との間の反応を抑制するためには溶融金属に含まれる酸素の濃度を制御する必要があります。 この制御に必要な酸素センサを高信頼性という観点から開発しています。
材料系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
准教授 河村憲一
E-mail : kawamura@mtl.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3137
※この内容は2016年4月発行の材料系 金属分野パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。