材料系 News
ひらめきとコンピュータを使って 常識を覆す新しい酸化物機能材料・デバイスを創る
※神谷研究室は2017年4月より神谷・片瀬研究室として活動を行っています。
材料系では「金属」「有機材料」「無機材料」の3つの分野にフォーカスし、独創的かつ挑戦的な研究・開発を推進しています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、世界を席巻する新しい機能材料の設計、開発を行う、神谷研究室です。
無機材料分野
材料コース
研究室:すずかけ台キャンパス・J1棟615号室
教授 神谷利夫 助教 井手啓介
研究分野 | 新無機機能材料開発 / 材料科学 / 半導体デバイス |
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キーワード | 新無機半導体開発、ディスプレイ用半導体デバイス、太陽電池、量子シミュレーション |
Webサイト | 細野・神谷・平松研究室 神谷利夫 - 研究者詳細情報(STAR Search) 井手啓介 - 研究者詳細情報(STAR Search) |
酸化物を中心に新しい機能材料を創り、その特長を生かしたデバイスを開発しています。
現在のコンピュータやディスプレイ、太陽電池などには、SiやGaNなどの共有結合性半導体が使われています。しかし、現在のSiでは、有機ELテレビや低コスト高効率の太陽電池を作るのが難しいなど、限界があります。
当研究室では、今まで使われてきた電子材料とは全く違った材料系で、今までは作れなかった光電子デバイスを実現できる新材料・デバイスの研究をしています。
2004年以前は、Si、GaNやZnOのような結晶でないと「良い半導体」はできないと信じられていました。
それに対して私たちは、In-Ga-Znを成分とする酸化物IGZOが、アモルファスであるにもかかわらず高性能のトランジスタを作れることを実証し、図1のような透明でフレキシブルな高性能トランジスタを発明しました。この技術は、iPad、Surface Pro4や77型有機EL TVなどに使われています。
酸化ゲルマニウムは6 eV以上の大きなバンドギャップをもち、非常に良い絶縁体として知られています。
しかし、図2のような量子計算によって電子構造を正しく理解すると、立方晶構造のSrGeO3はバンドギャップが2.7 eVへと極端に小さくなり、良い透明導電体になることが分かりました。このように、計算機シミュレーションを援用することにより、物質に関する新しいセンスを身に着け、画期的な新材料を開発できます。
上述のような新材料は、行き当たりばったりに材料合成をしても見つけることはできません。当研究室では、量子計算やデバイスシミュレーションなどのコンピュータ支援と、材料研究者としてのひらめきによって「使える新材料」の研究を進めています。
材料系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
教授 神谷利夫
E-mail : kamiya.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5357
※この内容は2016年4月発行の材料系 無機材料分野パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。