地球惑星科学系 News
地震を起こした断層深部でのゆっくりとしたすべりが隆起を支配
沈み込み帯などで起こる巨大地震のあとには、余効変動と呼ばれる大きな地殻変動が現れることが知られています。余効変動は、一般的に、地震を起こした断層深部での、揺れを起こさないゆっくりしたすべり(余効すべり)と水飴のようなマントルの流動(粘弾性緩和)の組み合わせによって引き起こされます。東北大学 大学院理学研究科 武藤潤准教授、太田雄策准教授、および海洋研究開発機構、東京大学地震研究所、東京工業大学 理学院 地球惑星科学系 岩森光特定教授、南洋理工大学、南カリフォルニア大学からなる合同研究チームは、2011年東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震)後の余効変動の観測データとそれらを説明する数値解析から、現在活発に隆起している東北地方沿岸部は、地震時に大きくすべった領域のさらに深部での余効すべりによって引き起こされていることを突き止めました。また余効すべりと複雑なマントル流動の相互作用が今後の沈降の回復に大きく影響することを世界で初めて示しました。このことは、人々の生活に直結する地面の鉛直変動(隆起・沈降)の観測を説明するとともに、その将来予測を行うためには、岩石の流動する特性や断層の摩擦特性及びそれらの相互作用を正確に考慮する必要があることを示しています。
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