未来

未来に花咲くことを思い描きながら、その可能性の種をまく

文部科学省
研究開発局 研究開発戦略官付
戦略官補佐

遠藤 正紀 さん

遠藤 正紀さん

現在の仕事について教えてください。
私は現在、核融合エネルギーの実現に向け、国際共同プロジェクトである国際熱核融合実験炉(ITER)計画や幅広いアプローチ(BA)活動の推進、核融合に関する学術研究や基礎研究の振興に携わっています。“地上に太陽をつくる”と形容される核融合エネルギーの実現は、挑戦的で息の長いプロジェクトです。また、国際共同プロジェクトは、文化や言語、国内制度などが異なる国々が一つ屋根の下で暮らすようなものなので、一筋縄ではいきません。しかし、エネルギー需要と地球環境の両立を考えれば待ったなしなので、50年、100年後の未来に花咲くことを思い描きながら、その可能性の種をまいていると考えています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
「個性とプライドを持ってしっかりしたサイエンス(基礎)を築かなければ、世の中を変えるような応用もまたあり得ない」。東工大で学んだ私のモットーです。東工大の先生や先輩方は皆さんそれぞれに個性的でしたが、研究において基礎を探求する姿は皆同じでした。文部科学省は学術・基礎研究の振興をミッションとしているので、その政策がすぐに日常生活に裨益していくものではない場合も多く、自分の仕事の成果が見えにくいこともあります。しかし、本当に社会にイノベーションを起こすには、応用ばかりに目を向けるのではなく、本物のサイエンス(基礎)を大切にしていかなければいけない、という信念で仕事をしています。
今後の目標を教えてください。
我が国は、天然資源に恵まれているとは言えず、むしろ少子高齢化など世界の中で課題先進国です。その様な中で、日本という国が50年後、100年後も世界の中で確たる地位を占めていくためには、良い研究に支えられた科学技術力が不可欠です。私は行政官であり研究者ではありませんが、私の仕事は常に研究と共にあると思っています。どうすればもっと良い研究ができるようになるのか、そして世の中を変えるような研究成果が出せるのか。そのために必要な制度・環境を整え、予算を確保する。自分が作った政策が世の中を変えるような研究に貢献できることを目指し、「個性とプライド」を持って仕事をしていきたいと思っています。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
皆さんは50年後の未来を思い描けますか。とある米国の研究者は、2030年には自動化によって今の職業の50%は無くなるだろうと予想しており、かくも未来はどうなるか分かりません。しかし、どの様な未来を描くとしても、“人”を育て、“知”を生み出すこと無くして、描いた未来の実現はあり得ません。東工大には“人”を育て、“知”を生み出す先生や先輩達がたくさんいて、意志ある皆さんをいつでも待っています。

えんどう・まさき(神奈川県出身)

1997年
東京工業大学 第7類 入学
2001年
東京工業大学 生命理工学部 生体分子工学科 卒業
2003年
東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 修士課程 修了
2006年
東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 博士後期課程 修了
2006年
文部科学省 入省
2015年
同 研究開発局 研究開発戦略官付

※記事の内容は取材当時のものです

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