土木・環境工学系 News
研究課題名「コンクリート中の波動伝搬モデルの開発」
環境・社会理工学院 土木・環境工学系の丸山 泰蔵准教授(土木工学コース 主担当)が令和6年度「東工大挑戦的研究賞」を受賞しました。
授賞式は2024年9月13日に開催される予定です。
挑戦的研究賞は、東工大の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開又は解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰するとともに、研究費の支援を行うものです。本賞を受賞した研究者からは、数多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。
第23回目の今回は丸山准教授を含む11名が受賞しました。
令和6年度「東工大挑戦的研究賞」の受賞者は、こちらをご覧ください。
この度は栄誉ある東工大挑戦的研究賞をいただき大変光栄に思います。本研究は最近始めた研究であり、まだまだ良い成果は出ていませんが、これまでにお世話になった方々に心より感謝申し上げます。
土木構造物を安全に長期間運用するためには、非破壊検査による健全性評価を行い、適切な補修等を実施することが重要です。土木構造物の非破壊検査は現場で行う必要があるため、その内部を検査する場合は超音波を用いた方法が有効です。しかしながら、土木構造物に広く用いられるコンクリート材料は、セメントペースト、細骨材、粗骨材といった複数の空間スケールを持つ材料を混ぜ合わせた複合材です。そのため、コンクリート材料の非均質性によって、その内部を伝搬する超音波は複雑な挙動を示します。構造物内部の欠陥の検出やイメージングには、材料内部での波動伝搬挙動をよく理解する必要があります。現状では、コンクリートを均質材料とみなせると仮定して実験的に計測した材料特性を利用していますが、その妥当性については不確かな要素が多く含まれていると思われます。
本研究では、コンクリート中を伝搬する波動に対する適切な数理モデルとはどのようなものなのかを解き明かし、コンクリート打設時の配合の情報によってそのモデルを構築できる枠組みの開発に挑戦します。非破壊検査への応用を考慮すると、ある程度の超音波伝搬距離が必要になるため、減衰を抑えて利用できる低周波数の超音波に対するマクロモデルの構築が本研究のターゲットです。通常、固体中の波動伝搬はその波長と介在物の相互作用によって非均質性の影響を評価できると考えられるため、骨材の粒度・形状の分布が得られればマクロな挙動は再現できるのではないかという弾性波動論的発想で、多数の骨材を扱う大規模波動解析による数値均質化によるアプローチを行っています。
コンクリート中の波動伝搬モデル開発の概略図