未来

日本の将来を見据えて、考え、挑み、守る

国土交通省
水管理・国土保全局河川計画課 課長補佐

信田 智 さん

信田 智さん

現在の仕事について教えてください。
現在は、国土交通省の水管理・国土保全局というところで、財務省に予算を要求し、予算を事業主体に配分する仕事をしています。「兆」円単位の予算を扱っているので、将来への財産となる真に必要な事業とは何なのかを考えさせられる毎日です。昨年度は、頻発する浸水への対策として、ハザードマップ作成や地下街の避難対策などを促進するための法律改正の仕事をしました。その前年度までは、関東地方整備局という現場の組織で、荒川の施設の調査・設計や地域住民との市民会議、災害時の技術者派遣の仕事などに携わっていました。現場感覚を持ちながら法律や予算の仕事をできるところに、組織のダイナミックさや仕事のやりがいを感じています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
国で予算の仕事をしてると、家庭は国の縮図であることに気づかされます。介護費用、住宅購入、教育資金のどれにどれだけお金を使うべきか、収入に比べて借金となるローンが大きすぎないか、家族の安全のための投資に手を抜いていないか、等々。同じように、大学での経験や学びも、仕事の縮図であるように思います。実験器具だったものが本物の大きな現場になり、論文が国の政策になり、友人達がプロジェクトを動かすグループになり、等々。大学時代のすべてが今の仕事に活きています。東工大の良いところは、大学の中での経験や学びの質が高いので、仕事にそのまま応用できるところだと思います。
今後の目標を教えてください。
社会資本整備は、色々な人と関わりながら、様々な制約をクリアしながら、時には住民の方々の犠牲も伴いながら、つくられていくものです。白地に自分一人で絵を描くようなものではありませんが、できあがるものが大きなものなので、できあがった際の達成感は何とも言えません。今後の個人の目標は、とにかく「今より良いものを後世に残していくこと」です。良いものはいつまでも何十年経っても使われますし、その作り方が応用されます。ですから、法制度でも施策でも設計でも何でもよいので、使ってもらえるものや人の心を動かすものをつくっていければ良いかなと思っています。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
大学は人生の中で見ると通過点です。ただ、東工大という通過点は、その後の人生の選択肢をたくさん与えてくれました。結果、自ら納得できる人生の選択をできたように思います。自分に向いていることが何なのか確信を持てない人でも、自分のやりたいことが漠然としている人でも、迷わず自信を持って東工大を目指してください。きっと自分のやりたいことが見つかります。

しだ・さとる(東京都出身)

1997年
東京工業大学 第6類 入学
2001年
東京工業大学 工学部土木工学科 卒業
2003年
東京工業大学 大学院理工学研究科土木工学専攻 修士課程修了
2003年
国土交通省 入省

※記事の内容は取材当時のものです

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