情報工学系 News

液滴の分裂によって、がんの可能性の有無を示す「DNA液滴コンピュータ」の開発に成功

病気の早期発見・薬物送達への貢献に期待

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2022.06.09

東京工業大学 情報理工学院 情報工学系の瀧ノ上正浩教授、生命理工学院 生命理工学系の公婧大学院生(博士後期課程3年)、東北大学学際科学フロンティア研究所の佐藤佑介助教(研究当時、現・九州工業大学准教授)らの研究グループは、がんバイオマーカーであるマイクロRNA(miRNA [用語1])の特定の組み合わせを入力として認識し、DNA液滴の分裂によって論理演算結果を出力できる「DNA液滴コンピュータ」の開発に成功しました。
細胞内では、様々な生体分子液滴が形成され、生命現象を制御しています。高分子液滴の中でも、DNA 液滴と呼ばれるプログラム可能な相分離液滴が近年報告されていました。しかし、その現象を実際に応用し、バイオセンシングと分子コンピューティングを組み合わせた生体分子液滴の構築はできていませんでした。本研究では、バイオセンシングと分子コンピューティングの機能を組み込んだDNA液滴が、乳がんの可能性を示すmiRNAの組み合わせを認識できることを実証しました。
本研究で開発されたDNA液滴コンピュータは、がん診断、薬剤耐性解析、薬物送達などへの応用が期待できます。さらに、人工細胞や自律型分子ロボットの構築などにも貢献できると期待されます。

用語説明
[用語1] miRNA : 遺伝子の発現を抑制する作用を持つ21-25塩基程度の一本鎖RNAのことである。近年の研究により、がんのバイオマーカーとしての可能性が示されている。

詳しくは、下記東工大ニュースをご覧ください。

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