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酵素反応が可能な細胞サイズの相分離DNAカプセルの構築に成功

多機能な細胞型分子ロボット・人工細胞の構築に期待

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2021.12.15

図1. DNAカプセルのイメージ図。配列を人工的に設計したDNAで作られたナノメートル(10億分の1メートル)サイズの構造(図中青と緑色のY字型の構造)が互いに結合することで、DNAカプセルが作られる。DNAカプセルはその表面に様々な模様を持っており、DNAの配列設計や混ぜる比率などによって模様が変化する。DNAカプセルは、人工細胞膜の裏側に作ったり(図中左上)、酵素で分解したり(図中上)することもできる。

図1. DNAカプセルのイメージ図。配列を人工的に設計したDNAで作られたナノメートル(10億分の1メートル)サイズの構造(図中青と緑色のY字型の構造)が互いに結合することで、DNAカプセルが作られる。DNAカプセルはその表面に様々な模様を持っており、DNAの配列設計や混ぜる比率などによって模様が変化する。DNAカプセルは、人工細胞膜の裏側に作ったり(図中左上)、酵素で分解したり(図中上)することもできる。

細胞のようなマイクロ(100万分の1メートル)サイズの小さな機能的システムを作るためには、自己の内外を隔てる区画構造(カプセル構造)が重要です。従来の研究では、人工細胞膜がカプセル構造として用いられてきました。しかし、人工細胞膜を構成するリン脂質は、設計性に乏しいという弱点がありました。

東北大学 学際科学フロンティア研究所 佐藤佑介 助教、東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 瀧ノ上正浩 准教授の研究グループは、情報分子DNAを人工的に設計することで、細胞サイズのカプセル構造「DNAカプセル」の構築に成功しました。DNAカプセルの表面には相分離現象で形成された“模様”(水玉やストライプ)があり、模様を利用してDNAカプセルの一部に望みの機能(分子計算機や分子駆動装置)を導入することなどが期待できます。また、研究グループは、DNAの塩基配列設計や混ぜる量などを変えることで、カプセル表面の模様を変えられることを初めて実証しました。さらに、人工細胞膜の裏側にDNAカプセルを形成したり、酵素によりDNAカプセルを分解できたりすることも示しました。これらの成果は、将来的に、薬剤送達システム(DDS)や医療用分子ロボットの開発、人工細胞の構築などへ寄与が期待できます。

この研究成果は米国化学会刊行の「JACS Au 」誌のオンライン版で2021年11月29日に先行公開され、 2022年1月24日発行の第2巻1号に掲載される予定です。また同号の表紙(図1)に選ばれています。

詳しくは、下記東工大ニュースをご覧ください。

    
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