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エピゲノムの制御を受けた転写の方程式

エピゲノム異常の影響を反応素過程ごとに理解する

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2020.12.11

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターエピジェネティクス制御研究チームの梅原崇史チームリーダー、若森昌聡技師、東京大学大学院薬学系研究科の岡部弘基助教、東京工業大学情報理工学院の瀧ノ上正浩准教授、千葉大学大学院理学研究院の浦聖恵教授らの共同研究グループは、細胞の機能発揮に関わる「エピゲノム」の化学修飾が遺伝子の転写に与える影響を、反応の素過程に分けて定量化する方程式を導出しました。

本研究成果は、がん細胞などで見られるエピゲノム異常が転写のどの反応素過程に影響するかの理解につながると期待できます。 エピゲノムは、ゲノムDNA中の遺伝子をRNAに転写する度合いを制御する、ゲノムDNAの可逆的な化学修飾の仕組みです。細胞核に収められたゲノムDNAはクロマチンと呼ばれる凝縮した構造をとっており、エピゲノムは転写前にその凝縮を解きほぐすなど、クロマチン構造を変換する複数の反応素過程を制御します。エピゲノムを特徴づけるヒストンの化学修飾には複数のパターンがありますが、それらが転写のどの素過程をどの程度制御するのかはよく分かっていませんでした。

今回、共同研究グループは、5SリボソームDNA(rDNA)という短い遺伝子をクロマチンのモデルとして、生化学(作る)・生物物理学(測る)・数理解析(モデル)の異分野融合研究を行い、エピゲノムの制御を受けた転写の素過程ごとの反応速度を求める方程式を導出しました。その結果、今回の実験系では、ヒストンH4のN末端テイルが最も高度にアセチル化された状態における転写可能なクロマチンの形成速度は、全くアセチル化されていない状態と比べて2.9倍速いことを見いだしました。

本研究は、科学雑誌『Nucleic Acids Research』のオンライン版(11月26日付:日本時間11月26日)に掲載されました。

詳しくは、以下の東工大ニュースをご覧ください。

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