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世界初!DNAオリガミを融合した分子人工筋肉を開発

ナノからマクロスケールまで広範に適応する再生可能なソフトアクチュエーターとして期待

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2019.05.09

北海道大学 大学院理学研究院の角五 彰准教授、関西大学 化学生命工学部の葛谷明紀教授、東京工業大学 情報理工学院 情報工学系の小長谷明彦教授らの研究グループは、モータータンパク質[用語1]とDNA[用語2]からなるオリガミ[用語3]を組み合わせることで、化学エネルギーを力学エネルギーに直接変換する分子人工筋肉の開発に世界で初めて成功しました。
モータータンパク質は、化学エネルギーを力学的な仕事へと変換するナノメートルサイズの分子機械です。バイオテクノロジーの発展によりモータータンパク質の合成が可能となり、優れたエネルギー変換効率と高い比出力特性(一般的な電磁モーターの20倍)を有しているため、マイクロマシンや分子ロボットの動力源として期待されています。しかし、ナノメートルサイズのモータータンパク質を秩序立てて目に見える大きさにまで組み上げることはこれまで不可能でした。
本研究では、バイオテクノロジーにより合成されるモータータンパク質とDNAナノテクノロジーにより合成されるDNAナノ構造体(DNAオリガミ)を組み合わせることで、自在にサイズを制御可能な分子人工筋肉の開発に成功しました。これにより、化学エネルギーで駆動するミリメートルからセンチメートルサイズの動力システムが実現し、将来的には医療用マイクロロボットや昆虫型ドローンなどの動力源として期待されます。
なお、本研究は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の次世代人工知能・ロボット中核技術開発プロジェクトの一つとして行われ、北海道大学、関西大学、東京工業大学がDNAオリガミを融合した分子人工筋肉のグランドデザインを考案しました。DNAオリガミの設計と調製は関西大学が、モータータンパク質の合成とDNAオリガミとの複合化、化学エネルギーによる分子人工筋肉の動作発現は北海道大学が、プロジェクトの運営管理は東京工業大学が行いました。
また、本研究成果は、2019年4月30日(火)公開のアメリカ化学会刊行Nano Letters誌に掲載されました。

【用語説明】
[用語1] モータータンパク質 : アデノシン三リン酸(ATP)の加水分解によって生じる化学エネルギーを 運動に変換するタンパク質。生物のほぼ全ての細胞に存在しており、物質の輸送や細胞分裂に関わっている。アクチン上を動くミオシン、微小管上を動くキネシンやダイニンが知られている。本研究では微小管とキネシンを使用した。
[用語2] DNA : デオキシリボ核酸の略。ATGCの四種の塩基配列情報に基づく高度な分子認識能力をもち、 生体内で遺伝子情報の保存と伝達を担っている。近年、DNA の化学合成が容易になってきたことから、この分子認識能力を活用して、複雑なナノ構造体(DNA オリガミ)やデジタルデータの記録のほか、数学的問題を解くことのできるDNA コンピューター(計算機)などへも応用されるようになった。
[用語3] オリガミ : 非常に長い一本鎖のDNAを一筆書き状に折りたたんで、これを多数の短い相補的なDNAでかたちを固定化することにより、メゾスケール(サブミリメートル)の望みの構造体を作る技術。2006年の発明当初は平面構造しか作ることができなかったが、近年は複雑な立体構造を作ることもできるようになってきた。

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