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化学系の八島正知教授らの研究グループが希土類を含まない世界最高クラスの酸素イオン伝導体を発見

燃料電池・センサー・電子材料等の開発を加速

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2021.01.28

図1. 発見したBa7Nb3.9Mo1.1O20.05の高い酸化物イオン伝導度(右図の赤丸と赤線)、本質的な酸素欠損層の原子配列(左)とイオン移動経路(中央)

図1. 発見したBa7Nb3.9Mo1.1O20.05の高い酸化物イオン伝導度(右図の赤丸と赤線)、本質的な酸素欠損層の原子配列(左)とイオン移動経路(中央)

概要

東京工業大学 理学院 化学系の八島正知教授らの研究グループは、従来の材料を凌駕する世界最高クラスの酸化物イオン伝導度(酸素イオン伝導度ともいう)を示す新しい酸化物イオン伝導体(酸素イオン伝導体、あるいはO2−伝導体ともいう)Ba7Nb3.9Mo1.1O20.05を発見した(図1の右側)。高温かつ広い酸素分圧範囲で、この新型イオン伝導体は非常に安定であることがわかった。従来の高酸化物イオン伝導体の多くは希土類、ビスマス、鉛、あるいはチタンを含む酸化物であり、還元雰囲気における安定性、毒性あるいは使える資源の量に難があった。発見したBa7Nb3.9Mo1.1O20.05はこれらの元素を含まず安定性、安全性および資源確保の点で優れている。さらに酸化物イオン伝導度が高くなる高温での結晶構造と酸化物イオンの拡散経路を実験により解明した。その結果、六方ペロブスカイト関連酸化物の結晶構造内の本質的な酸素欠損層の原子の隙間に存在する酸素(格子間酸素)とイオン移動経路の形成が高いイオン伝導度の原因であることがわかった(図1の中央と左側の図)。

なお本研究は、英国インペリアルカレッジロンドンのスキナー スティーブン(SKINNER Stephen J.)教授ら、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所/J-PARCセンターの神山崇教授らとの共同研究である。Ba7Nb3.9Mo1.1O20.05の結晶構造解析には、J-PARCの超高分解能中性子粉末回折装置SuperHRPDを用いた。

本研究成果は、2021年1月25日(現地英国時間)に英国科学雑誌Nature Communications電子版に掲載された。詳しくは東工大ニュースをご覧ください。

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