融合理工学系 News
環境・社会理工学院 融合理工学系の西田 梢准教授(地球環境共創コース 主担当)が令和6年度「東工大挑戦的研究賞」を受賞しました。
授賞式は2024年9月13日に開催される予定です。
挑戦的研究賞は、東工大の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開又は解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰するとともに、研究費の支援を行うものです。本賞を受賞した研究者からは、数多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。
第23回目の今回は西田准教授を含む11名が受賞しました。
令和6年度の「東工大挑戦的研究賞」の受賞者は、こちらをご覧ください。
近年、人為的な環境改変により、地球温暖化や海洋酸性化、環境汚染といった環境変動が急激に進行しています。このような環境下で自然資源の持続可能な利用や環境保全を遂行していくためには、環境情報の観測・蓄積により環境変動を過去から現在へシームレスに理解し、生物への環境影響を評価していくことが重要です。貝殻やサンゴ骨格といった生物の硬組織は日々付加成長をするため、生物硬組織の安定同位体比を用いることで生物の生息環境(水温、塩分など)の時系列情報を得ることができます。本研究課題では、申請者が習得してきた最新の安定同位体比分析技術を礎に、我が国で先駆けて、高精度な温度復元が可能なクランプトアイソトープ分析システムを導入することで、多様な生物の生息環境の履歴を解読することを目指します。クランプトアイソトープは、1つの分子に2つ以上の重い同位体を含むもので、多様な炭酸塩試料から高精度に温度復元ができる革新的な技術として注目され、国際的に導入が進んでいます。しかしながら、日本においては生物硬組織の安定同位体比の研究開発に取り組む研究者は極めて少ないために本技術の導入が進んでおらず、研究者が共同利用できる環境が整備されていません。そこで、我々は東京工業大学に高度なクランプトアイソトープ分析基盤を築くことを目指し、クランプトアイソトープ分析の前処理システムの構築をはじめとする技術開発に挑戦しています。本技術により、多様な生物試料や岩石試料の温度履歴の正確な復元が実現し、様々な異分野融合研究の創出に貢献できます。
この度は、栄誉ある賞を頂戴し大変光栄に思います。これまでの研究活動にご協力いただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。今年4月より東工大に着任し、研究に教育にと楽しい日々を送っています。ラボの整備や質量分析計の導入による分析技術開発など、同位体研究拠点にすべく研究に励んで参ります。