融合理工学系 News
東京工業大学と東京電力ホールディングス株式会社福島第一廃炉推進カンパニー(以下「東京電力HD」)は、「TEPCO廃炉フロンティア技術創成協働研究拠点」を2020年4月1日(水)に発足しました。「協働研究拠点」は、企業の研究所機能の一部を東工大内に設置し共同研究を推進する、東工大の産学連携プログラムです。
東京電力HDが進める福島第一原子力発電所(以下、「福島第一」)の廃炉は、燃料デブリの取り出し・保管・処分や、これまでに取り扱った経験のない多種多様な放射性廃棄物の保管・処分など、世界でも類を見ない困難な課題があります。それら課題の解決には、原子力技術に留まらない極めて広範な領域の技術を組み合わせた、前例のないいわば「フロンティア技術」の開発が必要です。東工大は、これまでも科学技術創成研究院 先導原子力研究所を中心に原子力の基礎基盤に関する共同研究に取り組んできた実績があり、2011年の福島原発事故以降は、福島復興に向けた取り組みに務めています。特に、「廃止措置工学高度人材育成と基盤研究の深化」(文部科学省 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業)では、福島第一の廃止措置に必要不可欠な最新技術と原子核工学の専門知識を有する人材を継続的に育成し、沸騰水型軽水炉過酷事故後の燃料デブリ取り出しアクセス性に関する研究等、多くの成果を残してきた点を踏まえ、今回両者は連携するに至りました。
このたび発足する協働研究拠点では、「東京工業大学オープンイノベーション機構」の研究企画から事業化までの支援のもと、これまでの両者の関係をさらに発展・充実させるべく、東京電力HDが廃炉現場で求めるニーズと東工大が持つ全学のシーズ技術をより積極的にマッチングし、東工大の持つ広範かつ豊富な研究リソースと東京電力HDの持つ廃炉現場でのノウハウを両者の緊密な連携下で融合した研究で「フロンティア技術」を開発し、福島第一の廃炉における技術的な各課題の克服を図ります。
さらには、協働研究拠点の設置により、独創的な廃炉技術に関する研究活動を通じて、今後30~40年継続する廃炉に関する産業のみならず、エネルギー産業、ひいては日本の幅広い産業の技術力の維持・向上を担う能力を持つ「人財」を育成・輩出する場としての役割を果たせるものと期待しています。