システム制御系 News
東京工業大学の公認学生サークル、ロボット技術研究会に所属する工学院 システム制御系 学士課程2年、藤山優太さんが率いるチーム「レパード(Leopard)」が、6月22日から6月28日にオンラインで開催された自律型ロボットの世界競技会、ロボカップ2021世界大会(RoboCup2021 WORLDWIDE)に日本代表として出場し、ジュニアサッカーリーグのオープンカテゴリで優勝しました。レパードは他チームと合同で作ったスーパーチーム部門でも優勝し、ダブル優勝を果たしました。レパードはリーダーの藤山さんと高校生2人の計3人がメンバーです。
ロボカップは、2050年までに人型ロボットだけで構成されたサッカーチームが人間のサッカーワールドカップチャンピオンチームに勝つことを目標として、人工知能やロボット工学の研究を推進することを目的とした世界規模のロボット競技会です。ロボカップ日本委員会のサイトによると、ラジコンのような人の操作によって動くロボットではなく、自分で考えて動く自律移動型ロボットが競技します。1992年に発足し、第1回世界大会は1997年に日本で開催されました。ロボットによるサッカー競技「ロボカップサッカー」をはじめ、災害現場をテーマに人命救助を行う「ロボカップレスキュー」、キッチンやリビングといった日常生活で人間との共同作業を追求する「ロボカップ@ホーム」、14歳から19歳までのリーグ「ロボカップジュニア」の4つの分野があります。
ジュニアサッカーリーグのオープンカテゴリには世界各国を代表する13チームが集まり、ロボットサッカーにおける技術力を競いました。通常の大会では各チームがサッカーロボットを2台ずつ製作しサッカーの試合をさせて得点を競います。しかし、2021年の大会は初のオンラインでの開催だったため試合は行わず、事前に提出する「ビデオ(Video)」「チーム説明(Team Description Paper)」と、大会期間中に出題される「テクニカル・チャレンジ(Technical Challenge)」の3つによって評価され、その総合得点によって順位が決まりました。
「ビデオ」は、毎年各チームによって開発される設計、プログラミングなどにおける新しい技術を共有し、コミュニティ全体のロボット工学に関する知識を深めることを目的としています。チームの紹介、ロボットの製作過程での設計、部品の選定、プログラミングなどにおいてなされた選択の理論的根拠や、ロボット開発中に行った実験の詳細とそれに関連するデータなどを3分間の動画にまとめ、提出します。
「チーム説明」とは、チームとロボットについて3分間の動画に収められなかった内容も詳細に説明することができる、ある種の研究論文(英語)です。チームの経歴、ハードウェアやソフトウェアで導入した新しい技術、戦略、今後の展望などを記述します。
「テクニカル・チャレンジ」は、サッカーロボットに課される課題を24時間以内に解決し、ロボットが課題をこなす動画を提出するという内容でした。
レパードのロボットは、あらゆる方向にボールをキックできる機構や、パソコンのマウスと同じ仕組みでロボットの移動距離を計測するセンサーなどの他のチームには見られない特徴を持っていたので、苦戦する時もありましたが全てのテクニカル・チャレンジで高得点を獲得し、オプション課題の追加得点とあわせて満点の50ポイントを得ました。
さらに、各チームに課されるテクニカル・チャレンジと並行して、「スーパーチーム(Super Team)」によるテクニカル・チャレンジも行われました。スーパーチームは2、3チームによる合同チームです。各スーパーチームに3つのテクニカル・チャレンジが課され、スーパーチーム内のそれぞれのチームで分担して解決し、各チームの課題をこなすのに要する時間の合計時間の短さを競うものでした。
チーム・レパードの結果は
ビデオ |
30.00(満点30ポイント) |
---|---|
チーム説明 |
19.06(満点20ポイント) |
テクニカル・チャレンジ |
50.00(満点50ポイント) |
合計 |
99.06 (満点100ポイント) |
の高得点で、見事優勝しました。またスーパーチームによる競技でもレパードの所属するチームが優勝しました。
競技終了後のワークショップでは、自分たちのロボットおよび大会期間中に開発した技術についてプレゼンテーションと質疑応答を行いました。
10歳の時からロボカップに出場していましたが、年齢制限のためジュニアサッカーリーグに出場できるのは今年が最後でした。10年近くの間、目指し続けていた世界大会優勝を叶えることができて大変嬉しく思います。世界大会に向けたロボット開発では、ロボット技術研究会で目にしたものやシステム制御系で学んだ数学や力学の知識を活かすことができたと思います。また、今回の世界大会で優勝できたのは、チームメンバーはもちろんのこと、チームを支えてくださった方々のおかげです。
今後もサッカーロボットで培った技術を活かして、ロボット技術研究会の活動に力をいれていきたいと思います。
ロボット技術研究会(ロ技研)とは
日本がその最前線を担うロボット技術(ロボティクス)を中心に、回路技術、ソフトウェア技術などについての研究開発を行う、東工大生200名が所属する公認サークルです。
小さいながらも学内に部室を持ち、フライス盤、旋盤、ボール盤などの工作機械と、オシロスコープやパソコンなどの電子回路・ソフトウェア開発のサポート機材を揃えています。また、ロボットづくりという枠組みにとらわれず、「何をやってもいい」というのがこのサークルの特徴です。
知識がなくても、ゼロから設計に必要な数学的観点と、回路・工作の実学的観点を学べる環境があります。ロボット技術研究会には、研究室と呼ばれるグループがあり、それぞれのテーマを設けるなどして、様々なことを研究しています。
ロボット技術研究会の活動は東工大基金によりサポートされています。