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近年、著しい発展を遂げた機械学習(いわゆるAI)の技術は、さまざまな分野で活用が進んでいる。物理学の研究においても、この強力なツールを利用して飛躍的進歩を目指す試みが始まりつつある。ただし、機械学習の利用には多くの場合、大規模な予算と人員、時間が必要であり、専門家以外にとっては依然として身近とは言い難いのが現状である。そこで今回は、非専門家の個人でもすぐに活用できる(かも知れない)身近な機械学習手法の応用について議論する。
本講演ではまず、初学者向けに機械学習について説明し、その物性物理学への応用例の一部を紹介する。その後、機械学習の基幹技術の一つである誤差逆伝播法を応用した逆問題解法[1]について解説する。これは、例えば観測データから試料内部の状態を推定するような逆問題や、実験データから適切な数理モデルを構築する問題などに対して汎用的に使えるアルゴリズムである。この手法はPythonパッケージを利用すれば特別な専門知識無しに利用でき、従来の数値計算手法では困難だった問題や時間のかかっていた課題を効率的に解いたり、手作業で行っていたパラメータ調整のような面倒な作業を自動化することが可能になる。
更新日:2025.08.22