カーボンナノチューブ量子ドットのSU(4)-SU(2) 近藤状態間の遷移による輸送の理論と実験
- 日程
- 2024年10月11日(金)
- 時間
- 14:00-
- 場所
- 大岡山キャンパス 本館2階 290 物理学系輪講室
- 講師
- 阪野 塁 氏(慶應義塾大学 理工学研究科)
- お問い合わせ先
- 連絡教員:物理学系 西田 祐介(内線3614)
量子物理学・ナノサイエンス第101回特別セミナー
概要
カーボンナノチューブ量子ドットに閉じ込められた電子は、カイラリティに起因した軌道自由度を持ち、これとスピンの自由度によりSU(4)近藤効果が起こる。特に軌道とスピンのg因子が同じ大きさになるように磁場の印加方向を調整すると、これまでほとんど明らかにされてこなかった新しい型のSU(4)からSU(2)近藤状態への遷移が2電子占有状態で起こる。実際に私達は非線形電流のショットノイズの測定を用いて、この観測に成功した[1]。
この遷移現象の低エネルギー状態の特性を、3体相関補正効果を含む局所フェルミ流体論を用いて議論する。さらに電流の温度依存性やバイアス電圧に対する非線形項、電流ノイズなどの輸送量に現れるこのSU(4)-SU(2)近藤状態間の遷移特性について明らかにする[2,3]。
- [1] Y Teratani, RS, T Hata, T Arakawa, M Ferrier, K Kobayashi, and A Oguri, PRB 102, 165106 (2020)
- [2] M Ferrier, T Arakawa, T Hata, R Fujiwara, R Delagrange, R Deblock, Y Teratani, RS, A Oguri, and K Kobayashi, PRL 118, 196803 (2017)
- [3] A Oguri, Y Teratani, K Tsutsumi, and RS, PRB 105, 115409 (2022)
- 東京科学大学理学院・物理学系 ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点 共催