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ピタエフスキー関係式の定式化とその応用

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日程
2024年7月23日(火)
時間
16:00-
場所
大岡山キャンパス別窓 南5号館5階 503CD 大会議室
講師
渡邉 光 氏(東京大学 先端科学技術研究センター)
お問い合わせ先
連絡教員:物理学系 佐藤 琢哉(内線2716)

量子物理学・ナノサイエンス第395回セミナー

概要

レーザーのような高出力光源の開発を契機として、非線形光学物性の研究は大きく発展してきた。また近年においては、超高速磁化制御やトポロジカルに非自明な電子物性に由来した非線形光学特性などが取り上げられており、非線形光学分野は新たな展開を見せている [1]。非線形光学応答は多自由度を様々に結びつける興味深い研究対象であるが、その非線形性のため、線形応答に比してその体系的理解は一般に難しい。一方で、ある状況下においては非線形・線形応答の間によい関係があることがわかっている。L. P. Pitaevskiiにより初めて明らかにされたその関係式により、Faraday効果(線形応答)と光誘起磁化応答(二次の非線形応答の一種)が定量的に関連付けられる。これは実験的にも確認されており、有効的な自由エネルギーに基づく拡張も試みられている [2]。

本発表では、この非自明な関係式であるピタエフスキー関係式を量子論的導出について解説する [3]。応答理論に基づく量子論的な定式化は、従来の有効自由エネルギーによる現象論的な議論を基礎づけるだけでなく、多体量子相特有のピタエフスキー関係式の同定にも適用できる。本研究により明らかとなった関係式の一例として、反転対称性の破れた系に特有な逆電気磁気効果・逆自然二色性についても議論したい。

        
  • [1] A. Kirilyuk, A. V. Kimel, and T. Rasing, Rev. Mod. Phys. 82, 2731 (2010); J. Orenstein et al., Annu. Rev. Condens. Matter Phys. 12, 247 (2021)..
  • [2] L. P. Pitaevskii, Sov. Phys. JETP 12, 1008 (1961);J. P. van der Ziel et al., Phys. Rev. Lett. 15, 190 (1965).
  • [3] HW and A. Daido, Phys. Rev. B. 110, 014405 (2024).
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  • 東京工業大学理学院・物理学系 ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点 共催

更新日:2024.07.10

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