ファンデルワールス複合原子層作製の基礎

量子物理学・ナノサイエンス第383回セミナー

概要

二次元層状物質を面直に積層した構造であるファンデルワールス接合においては、材料間の格子整合が不要であるため任意の材料を任意の順番で組み合わせることが可能である。材料の選択・積層順序・ツイスト角度の自由度により、組み合わせは無限である。

本セミナーでは、二次元物質研究の発展に不可欠な役割を果たしてきたvdW積層技術について概説する。vdWヘテロ構造作製の基礎知識の習得と作製への動機付けとなることを目指したい。具体的には、高品質原子層の機械的剥離法について述べた後、vdWヘテロ構造への原子層の組み立てについて述べ、最後に、自律的なロボット組み立てを用いた最近の製造技術の進歩について紹介する。ファンデルワールス接合の積層技術は現在も開発が進められており、高効率で高品質な素子作製を目指した技術改良が行われている。本講演では、ファンデルワールス接合作製技術の最近の動向について概説する。特に、我々が開発を行っているポリ塩化ビニル（PVC）を用いた転写法を紹介したい。

　　　 　　　　
• [1]“Assembly of van der Waals heterostructures: exfoliation, searching, and stacking of 2D materials”, M. Onodera, S. Masubuchi, R. Moriya, and T. Machida, Jpn. J. Appl. Phys. 59, 1010101 (2020).
• [2] Y. Wakafuji et al., Nano Lett. 20, 2486 (2020).
• [3] Y. Wakafuji, M. Onodera et al., npj 2D Mater Appl 6, 44 (2022).
• [4] M. Onodera et al., Sci. Rep. 12, 21963 (2022).
　　　　

• 量子物理学・ナノサイエンス第383回セミナー

• 東京工業大学理学院・物理学系 ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点　共催