- 日程
- 2023年5月22日(月)
- 時間
- 13:00-
- 場所
- 大岡山キャンパス 本館1階 M-143B 講義室
- 講師
- 加藤 康之 氏(東京大学 大学院工学系研究科)
- お問い合わせ先
- 連絡教員:物理学系 西田 祐介(内線3614)
量子物理学・ナノサイエンス第88回特別セミナー
概要
量子スピン液体は,絶対零度まで長距離磁気秩序を示さない磁気的状態を指し,強相関物理学の重要な課題の一つである.本セミナーでは,量子スピン液体の概観から始める.その後,量子スピンアイスおよびキタエフスピン液体といった量子スピン液体の例に注目する.特に量子スピンアイス[1]と3次元カイラルスピン液体[2,3]については,有限温度量子モンテカルロシミュレーションの結果を紹介する.量子スピンアイスのシミュレーションでは,高温の無秩序相から温度を下げるに従って2回の逐次クロスオーバーを示し,古典スピンアイスから量子スピンアイス状態へと変化することを明らかにした.一方,3次元カイラルスピン液体の場合には,時間反転対称性の破れを伴う有限温度相転移と,様々な種類の低エネルギー励起を有する異なる3次元カイラルスピン液体が競合しうることを見出した.セミナーではその詳細を議論する.
- [1] Y. Kato and S. Onoda, Phys. Rev. Lett. 115, 077202 (2015).
- [2] Y. Kato, Y. Kamiya, J. Nasu, and Y. Motome, Phys. Rev. B 96, 174409 (2017).
- [3] P. A. Mishchenko, Y. Kato, K. O'Brien, T. A. Bojesen, T. Eschmann, M. Hermanns, S. Trebst, and Y. Motome, Phys. Rev. B 101, 045118 (2020).
- 東京工業大学理学院・物理学系 ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点 共催