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極低温に冷却された原子集団(冷却原子系)による実験技術の発展は、系のパラメータの自在な制御に加え、散逸の制御や1原子レベルでの観測をも可能にした。例えば、Yb原子系において、光会合と呼ばれる技術を用いて粒子ロスを制御することが可能であり、開放系特有の非平衡相転移等が報告されている。また、観測によって量子系の情報を取り出す際、観測者は環境としての役割を果たし、観測の反作用は量子状態に無視できない変化を引き起こす。特に、冷却原子系のような極限の解像度の下での物理では観測による反作用の影響が顕著となる。
本セミナーではこのような背景から、量子開放系における多体物理を、非エルミート量子多体系[1]、リンドブラッド方程式のダイナミクスと非平衡定常状態[2]、連続測定下の量子多体物理[3]、の3つの観点から概観する。具体的には、超伝導、朝永Luttinger液体、量子多体局在といった典型的な強相関物理を取り扱う。
更新日:2023.04.10