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超伝導体におけるクーパー対は,クーパー対を成す2電子の入れ替えに関する対称性によって分類される.最も基礎的なBCS型の超伝導体はスピン一重項s波であり,2電子が持つ時間の自由度に関する入れ替えも考慮すると,このクーパー対は時間の入れ替えに対して偶関数である.一方,時間の入れ替えに関して奇関数になる場合についても考慮するとスピン一重項p波やスピン三重項s波などを考えることができる.時間の入れ替えに関して奇関数になるようなクーパー対は奇周波数クーパー対と呼ばれ,通常のBCS型の超伝導体が示す磁場を排斥するマイスナー効果とは逆の常磁性マイスナー効果などの特徴を持つことが理論的に示されている.奇周波数クーパー対は一般的にバルクでは不安定であるが,超伝導体の表面などには広く存在することが理論的に示されており[1],μSRなどの実験でその存在が示唆されている[2,3].また,トポロジカル超伝導体においてマヨラナ粒子と同時に奇周波数クーパー対も表面に誘起されることが理論的に示唆され,奇周波数クーパー対への理解は超伝導の物理への理解を深めてくれる可能性がある.本講演では奇周波数クーパー対を簡単に紹介した後,カイラル対称性を持つ1次元のトポロジカルな系に関して奇周波数クーパー対とトポロジカル数の関係[4,5,6],そしてs波スピン三重項の奇周波数クーパー対が超伝導体と不純物を含む金属の接合系で示す異常近接効果について紹介する[7,8].
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更新日:2022.09.11