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多数決は多数派が総取りとなる非線形なシステムである。1954年にShapleyとShubikは、異なる票数を持つN人の投票者が、ランダムに賛成と反対を投じる状況を想定して、それぞれが多数派を構成するためのキャスティングボードを握る確率に注目した。この確率はPower Indexと呼ばれ、各投票者が採決に与える潜在的な影響力を表す。ある企業の株主総会では、その企業の株主たちが投票をおこなう。そして、これらの株主(親会社)たちもまた、自身の株主らによって投票がおこなわれる。つまり、投票が多重構造になっているのだ。本セミナーでは、Shapley-Shubik Power Indexを、多重構造を持つネットワークに拡張したNetwork Power Index (NPI)を提案する。そして、1億社×4億株主で構成されるグローバル株所有ネットワークにおいて、中国政府が年々NPIを増大させ、現在、世界一の株主であることを示す。また、NPIを用いながら、外国政府による多面的な企業支配の特徴と支配経路を明らかにする。香港企業に対する米中の株主による競争が、香港企業に対する日本の株主のNPIに与える影響をシミュレートする。これらの研究成果をインタラクティブに可視化するNPI VISUALIZATIONを紹介する。
更新日:2022.07.06