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ムーアの法則に従ったデジタル計算機能力の増大が鈍化するにつれて、異なるメカニズムで動く非ノイマン型計算機の開発が盛んになってきている。イジングマシンはイジング問題を解くことに特化した計算機であり、コヒーレントイジングマシンは縮退光パラメトリック発振で生じる光パルスが持つ二値の位相自由度で、イジングスピンを表現する。特に、測定フィードバック結合型コヒーレントイジングマシンでは、リングキャビティー中に多数生成した光パルスを、光ホモダイン測定を利用したコヒーレント光のフィードバック注入により結合することで、全体で一つのイジングハミルトニアンを表現する。
本研究では、コヒーレントイジングマシンが出力するイジングエネルギー分布に対して、系に内在する揺らぎが与える影響について議論する。この系では、縮退光パラメトリック発振に伴う量子的な揺らぎに加えて、測定の反作用による揺らぎが加わる。微視的に理論模型を構築し数値計算した結果、これらの古典的には存在しない揺らぎの影響が、発振に伴う非平衡相転移において増大し、イジングエネルギー分布にべき的なふるまいを与えることが分かった。生じた単位状態当たりのエネルギー分布はTsallis統計に現れるq指数分布でよく近似できる。この分布はイジング結合変化に対してロバストであり普遍的に存在するため、一種の臨界現象であると考えられる。
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更新日:2022.06.21