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近年、グラフェンに代表される2次元物質の興味深い性質が次々と明らかとなっている。これらは量子力学に基づく微細デバイスへの応用が可能な材料であるとみなされている。本研究では、2次元物質だけでなく、それを支える基板の表面にも着目した。基板表面の原子構造を明らかとし、制御することでグラフェン、hBN、FeSeといった2次元物質の電子状態を変調し、超伝導などの物性を発現させる研究を行っている。
2層グラフェンにCaを侵入させると超伝導となることが知られていたが、基板界面の影響は明らかでなかった。基板の寄与を明確にするため、単層グラフェン/バッファ層終端SiC基板の積層構造にCaを侵入させ、電子状態を調べた。すると、Caは全ての層間に侵入して結局Ca侵入2層グラフェン/Ca終端SiCができ、2×1015/cm2にも及ぶ大きなキャリア密度を持つことがわかった[1]。基板側のCaからのキャリア供給が超伝導に寄与している可能性が示された。
同様にLiを侵入させるとLi侵入2層グラフェン/Li終端SiCが生じ、この場合にはバンド構造のvan Hove特異点が丁度フェルミ準位に一致することがわかった。さらにグラフェンの層数を増加させると、van Hove特異点が占有状態側にわずかにシフトすることがわかった。理論計算を行い、Liが1層おきに侵入した構造で実験結果が再現されることを明らかとした[2]。
この他に、グラフェンと好対照な系である単層hBNへのインターカレーションによる電子状態操作、及びSrTiO3基板の表面構造に着目した単層FeSeの超伝導研究[3]についても述べる。
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更新日:2022.05.17