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カイラル結晶のフォノン理論

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日程
2021年1月13日(水)
時間
16:30-17:30
場所
Zoomによる開催(URLは下記をご確認ください。)
講師
岸根 順一郎 教授(放送大学 教養学部)
お問い合わせ先
連絡教員:物理学系 佐藤 琢哉(内線2716)

量子物理学・ナノサイエンス第306回セミナー

概要

左右対称性の破れ(カイラリティ)が誘導する物質機能の探索が活発な展開を見せている.磁性,光,弾性に対するカイラル効果のうち最も研究が遅れているのが(意外なことに)弾性である.本セミナーでは,カイラル結晶のフォノンスペクトルを《ミクロポーラ弾性論》を用いて記述する方法と物理的意義を述べる.この理論の本質は,原子スケールの剛体ブロックの並進(極性ベクトル)と回転(軸性ベクトル)を独立な自由度として扱い,これらの結合項(擬スカラー)を自由エネルギーに入れる点にある.これがカイラル項である.ここから導かれる弾性波の運動方程式を解くと,円偏波の左右に依存してフォノンバンドが分裂する.この分裂は,電子バンドのスピン依存ラシュバ分裂と同様のものであり,フォノンスピンに依存するバンド分裂とみなせる.このフォノンスペクトルは時間反転Tを破らずパリティPを破り,真のキラリティを持つ.さらに,ミクロな回転モードと並進モードの混成により超流動ヘリウム4の素励起に見られるロトンスペクトル様の分散曲線が現れる.我々の結果はNozieresが提唱したロトンの発現機構と調和している.

  • [1] J. Kishine, A.S. Ovchinnikov, and A. A. Tereshchenko, Phys. Rev. Lett.125, 245302 (2020)
  • [2] P. Nozieres, J. Low Temp. Phys. 142, 91 (2006)

本 ZOOM セミナーに参加されます場合には、事前に下記より登録を済ませてください。 https://zoom.us/meeting/register/tJAlfumsrjorHN3cZvqZ3lvKyeKsk5Cqwj4Z

ご来聴を歓迎いたします。

  • 量子物理学・ナノサイエンス先端研究センター 主催
  • 東京工業大学理学院・物理学系 共催

更新日:2020.12.14

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