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連星ブラックホール合体後にできたブラックホールは一般には歪んでいると考えられる。その歪みは重力波を放出しながら減衰していき、ブラックホールはやがて定常状態に落ち着いていく。この過程で放出される重力波をリングダウン重力波とよぶ。リングダウン重力波はブラックホールの準固有振動の重ね合わせで記述でき、一般相対性理論では準固有振動の複素振動数はブラックホールの質量とスピンのみに依存する。この性質からリングダウン重力波は一般相対性理論の検証に有用であり、複素振動数の推定精度を向上させることは重力波データ解析における重要な課題の一つである。
本セミナーでは、ブラックホール摂動論のレビューを行い、ブラックホール準固有振動が理論的にどのように導出されるかをみる。またリングダウン重力波の解析に用いられる標準的な手法を解説し、実際のイベントからLIGOチームが得た解析結果を紹介する。時間が許せば、リングダウン重力波から複素振動数を推定する新たな手法についても紹介する。
更新日:2020.01.14