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ヒッグスモードは南部−ゴールドストンモードと共に連続対称性の自発的な破れに伴い現れる集団モードで、近年超伝導体や反強磁性体などの多くの物性系で観測され注目を浴びている。南部−ゴールドストンモードの性質については、最近の研究の進展により非相対論を含めた統一的な理解が得られている。しかし、物性系におけるヒッグスモードについては、基本的な性質が十分に理解されているとは言い難い。例えば、BCS超伝導体とBose-Einstein凝縮体(BEC)は同じU(1)対称性の破れを伴い、BCS-BECクロスオーバーで連続的につながるにもかかわらず、BCS超伝導体にはヒッグスモードは存在し、BECには存在しない。このように連続的な対称性の破れが起きても必ずしもヒッグスモードが現れるわけではない。本発表では、超伝導体における隠れた電荷共役(C), パリティ(P), 時間反転(T)対称性について議論し、ヒッグスモードの出現がT対称性の破れに起因することを明らかにする。
参考文献 arXiv:1804.05577
更新日:2018.05.01