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固体の性質の基本的な理解は、バンド理論に基づいて行われる場合が多い。電子バンドを実験的に観測する手法としては角度分解型光電子分光があり、トポロジカル絶縁体や超伝導体の研究において大いに活躍している。一方、電子間の相互作用が運動エネルギーと比較して無視できなくなると、低温で、電子系が新たな秩序を形成しやすくなる。そのような状況にある固体は強相関電子系と総称されることが多い。強相関電子系では、形成されている秩序と、各秩序状態における素励起を理解することで、その性質を理解して機能を開拓することが可能となる。これらの情報を実験的に得るために様々な実験方法が考案されてきたが、特に、放射光、中性子、レーザー、電子線といった量子ビームが、重要な役割を担っている。本セミナーでは、いくつかの実験方法に焦点を絞って、実際の研究例を挙げながら、その特徴を議論する。
※本セミナーは「物理学特別講義(発展)第十二」の講義の一部を兼ねています。
更新日:2017.12.11