Statistical Mechanics without Ensembles ｰThermal Pure Quantum Formulation

量子物理学・ナノサイエンス第203回セミナー

概要

量子統計力学は従来は、多数の量子状態を集めたアンサンブルを用いて定式化されたいた。すなわち、アンサンブルの量子状態を全て古典混合した密度演算子で平衡状態を表し、アンサンブルの量子状態全てから求めた分配関数から熱力学関数を求めるべし、という定式化であった。これに対して我々は、たった1個の量子状態から、相関関数や熱力学関数を含む全ての統計力学量を求めることができる、新しい定式化を行うことに成功した[1-5]。その概要と応用例を紹介する。

• [1] S. Sugiura and A. Shimizu, Phys. Rev. Lett. 108 (2012) 240401.
• [2] S. Sugiura and A. Shimizu, Phys. Rev. Lett. 111 (2013) 010401.
• [3] M. Hyuga, S. Sugiura. K. Sakai and A. Shimizu, Phys. Rev. B 90 (2014) 121110(R).
• [4] S. Sugiura and A. Shimizu, Kinki University Series on Quantum Computing: Volume 9 (2014) 245.
• [5] 杉浦祥, 清水明, 日本物理学会誌70 (2015) 368-373.

• 量子物理学・ナノサイエンス第203回セミナー

• ナノサイエンス・量子物理学国際研究センター 主催
• 東京工業大学理学院・物理学系、「ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点」共催