土木・環境工学系 News
河瀬理貴助教(土木工学コース 主担当)らの論文「情報の不確実性を考慮した救援物資の在庫輸送戦略の数理解析」が、令和4年度の土木学会論文賞を受賞しました。
授賞式は2023年6月9日に開催されました。
論文賞は、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究、計画、設計、施工、考案、維持管理などに関する論文を発表し、独創的な業績を挙げ、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められる論文を対象とし、その著者を表彰しています。
受賞者: | 河瀬理貴助教 |
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受賞先: | 公益社団法人土木学会 |
賞: | 令和4年度土木学会論文賞 |
受賞論文: | 情報の不確実性を考慮した救援物資の在庫輸送戦略の数理解析 |
受賞者以外の著者: | 井料 隆雅,浦田 淳司 |
受賞日: | 2023年6月9日 |
土木学会は受賞理由を次のように述べています。
本研究は災害時の物資輸送について「プッシュ型からプル型への移行戦略」と「被災地への直接輸送の有効性」の2点を理論的に分析した論文である。災害後の劣悪な通信環境下では、初期に物資が届かず後から過剰な物資が届き現場の負担を招くことがあった。そのため発災直後は被災地の要請に関わらず一定量を輸送するプッシュ型での物資輸送が主流となっている。しかし状況改善後、被災地の要請に基づくプル型への移行タイミングについては、定量的な知見がなかった。また、被災地への物資輸送は、中間拠点を用いずに直送する方式が一定の成功を収めているが、その根拠は明確ではなかった。
本研究は数理モデルを用いた解析により、上記について定量的な知見を与えた。情報の不確実性と中間拠点の存在を考慮したモデルを二段階の動学的最適化問題として定式化し、その最適解を解析的に求めることに成功した。これを用い、輸送方式の最適な移行タイミングおよび、直接輸送の適切性についても数学的な根拠を与えた。これらの成果は、過去の災害での経験を裏付けるものであり、学術的新規性と実務的有用性が極めて大きく、かつ、災害に強い交通インフラの計画手法などへの展開も期待できる。以上のように本論文では、学術面での先進性と、実務面での貢献がとても高い水準にあることから、論文賞に相応しいと認められた。