情報工学系 News
1つの答えに絞らない新しいシンボリック回帰手法「DRSR」

DRSRにより観測データから複数の数式候補を提示する概念図。数式およびデータは説明のための模式例。
東京科学大学(Science Tokyo) 情報理工学院 情報工学系の池田晃毅博士後期課程学生、野村将寛助教は、株式会社サイバーエージェントの濱野椋希氏と共同で、データに潜む複数の関係を、特徴の異なる数式として同時に発見する新たなシンボリック回帰手法[用語1]「DRSR」を開発しました。
データから人が理解できる数式を自動的に見いだすシンボリック回帰は、物理学や材料科学、生命科学など、結果の解釈性が求められる分野で注目されています。しかし、実際のデータには、測定誤差や外れ値、あるいは異なる現象に由来する複数の傾向が混在しています。従来手法の多くは、単一の評価基準で1つの代表的な数式を選ぶため、データに潜む別の有力な関係を見落とす可能性がありました。
本研究では、この問題を解決する新手法「DRSR(Diversified Residual Symbolic Regression)」を提案しました。DRSRは、予測性能の高い数式を探索するだけでなく、同時に、「どのデータをよく説明し、どのデータに大きな誤差が残るか」という残差[用語2]パターンの違いを利用して、複数の数式候補を探索・保持します。これにより、AIが1つの答えに絞り込むのではなく、研究者が専門知識や分析目的に基づいて候補を比較し、適切なモデルを選択できるようになります。
本成果は、2026年7月に開催された「GECCO 2026」で発表され、同会議論文集に掲載されました。
用語説明
[用語1] シンボリック回帰:データに含まれる関係を、人が理解しやすい数式として自動的に見つける機械学習手法。
[用語2] 残差:数式やモデルによる予測値と、実際に観測された値との差。
詳しくは、下記 Science Tokyo ニュースをご覧ください。