融合理工学系 News
既存の研究分野にとらわれない異分野融合を推進する共同研究
東京工業大学は、2021年度の「異分野融合研究支援」に2つの研究チームを選びました。
分野を超えた研究を支援する「異分野融合研究支援」は、東工大における研究分野の多様性を生かした異分野融合研究を推進することを目的とし、分野を横断する研究チームに対して研究費の支援を行うものです。研究領域が異なる場合に限らず、「異なる技術、手法の組み合わせにより、既知の学問を超えた革新的な知見・知識の創出が期待できる場合」も対象としています。
本支援は2018年に東工大基金を活用して創設されました。
第4回目となる2021年度は、環境・社会理工学院 融合理工学系の大橋匠助教を研究代表とするチームと科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の本田雄士助教を研究代表とするチームの2チーム(計8名)が選ばれました。
支援決定通知書授与式は、3月8日にビデオ会議システムを用いて執り行い、採択チームによる研究紹介を行った後、益一哉学長、審査員の渡辺治理事・副学長(研究担当)、桑田薫副学長(研究企画担当)、科学技術創成研究院の大竹尚登副研究院長との懇談が行われ、活発な意見交換がなされました。
* は研究代表者
超高齢社会に突入した日本では、介護の需給ギャップが2035年には68万人にも上るとされています。リソースが逼迫していく介護現場に対して、私たち研究者はどのような貢献ができるでしょうか。私たちは、ロベルト・ベルガンティ(Roberto Verganti)が提唱するデザインドリブンイノベーションに基づき、社会文化的トレンドの分析や、社会との対話を通した科学技術の活用シナリオの精緻化を通して、これから長期的に取り組むべき研究コンセプトの定義から始めます。私たちは、機械系とデザイン系の研究者による異分野融合チームで、平時の事故予防から事故防止、そして事故検知までを可能にする多様なシーズを持っていることが何よりの強みです。これらのシーズを活かしながら、機械と介護者が協調する未来の介護技術を創り出すことをミッションに、研究活動を推進していきます。
本研究は、遺伝子編集ツールであるCas9-gRNA複合体(RNP)を高分子複合体に搭載させ、疾病箇所での遺伝子編集効果を向上させることを目的とした研究です。Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats (CRISPR)-Cas(クリスパー・キャス)システムは、様々な生物・組織におけるゲノム DNA 編集技術として利用され、病気の治療などへの応用が大いに期待されています。しかし、CRISPR-Cas システムに用いられるCas9タンパク質は生体内で異物として排除されやすく、十分な活性(治療効果)が発揮できていません。本研究では、高分子複合体にCas9-gRNA RNPを搭載させ、生体内での異物認識を防ぎ、がん疾病に対する治療効果を向上させることを実証します。研究遂行にあたり、申請者(本田)が複合体形成から細胞および動物実験による機能評価まで主体的に実施し、これまでCRISPR-Cas研究を精力的に進めてきた共同研究者(刑部)がメカニズムおよびゲノム編集解析を行います。
このイベントは東工大基金によりサポートされています。