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細胞集団や魚の群れのように、自ら動く素子の集団を1つのマクロな物体(=アクティブマター)とみなし、その熱統計力学的なマクロ法則を探求する非平衡統計物理学の枠組みが、アクティブマター物理学である。アクティブマターにおいては、個々の構成要素がエネルギーを力学的仕事に変換するため、構成要素スケールでエネルギーの流入と散逸の存在する生来的に非平衡な系である。結果として、平衡系や他の非平衡多体系では成し遂げられないような新奇物性を発現する。本セミナーでは、そんな新奇物性や統計則の理論的理解を実験に基づき引き出してきたこれまでの西口の研究を概説するとともに、今後の研究計画・やりたいことについても隠すことなく議論・紹介させていただくことで、皆様との共同研究・協力関係につなげていきたい。
具体的には、以下のことを体系的に紹介する:
1)遊泳バクテリアや交流電場下で自己遊泳する非対称コロイド粒子の集団運動における「2次元系での長距離秩序」の実証実験および長距離秩序相における音波の分散関係やスケーリング指数計測の最近の展開
2)逆に長距離秩序のない時空カオス的に乱れた集団運動であるアクティブ乱流が示す渦格子秩序への自己組織化
3)さらに、このような秩序立った渦が乱れて時空カオスに至る乱流化シナリオ
加えて、今後の展望として、アクティブマターにおけるエッジモードや非エルミート系特有のトポロジカル物性の探索、キラルな集団運動における奇粘性などの新奇物性の計測や、個々の遊泳や集団運動の外場応答の測定などの計画も議論する。これらを通して、幅広い分野の皆様と交流するきっかけを作れれば幸いである。
更新日:2024.12.19