スピンカロリトロニクス:発展の歴史から将来展望まで
- 日程
- 2023年8月16日(水)
- 時間
- 14:00-
- 場所
- 大岡山キャンパス 本館2階 290 物理学系輪講室
- 講師
- 内田 健一 氏(物質・材料研究機構)
- お問い合わせ先
- 連絡教員:物理学系 佐藤 琢哉(内線2716)
量子物理学・ナノサイエンス第369回セミナー
概要
電子が有するスピンの自由度を活用したエネルギー変換・制御原理が、スピントロニクスと熱電・熱輸送物性の融合領域「スピンカロリトロニクス」において次々と見出されている[1]。スピンカロリトロニクスは、熱流によるスピン流生成現象であるスピンゼーベック効果[2]の発見を契機に急速に成長してきた分野であり、その発展には日本の研究者が大きな貢献を果たしてきた。スピンカロリトロニクスは分野誕生から十数年が経ち、モデル物質を用いた熱流-スピン流変換の基礎メカニズムの解明が概ね完了した。近年では異分野の知見・技術・物質を取り入れ、新原理の"横型"熱電変換技術や熱マネジメント技術としての可能性が見出されるなど、新たな研究フェーズに入りつつある[3-8]。
本セミナーでは、発表者のこれまでの研究成果を紹介することでスピンカロリトロニクス分野の発展の歴史を概観し、研究の現状と将来展望について述べる。
- [1] K. Uchida, Proc. Jpn. Acad., Ser. B 97, 69 (2021).
- [2] K. Uchida et al., Nature 455, 778 (2008), Nature Mater. 9, 894 (2010).
- [3] K. Uchida et al., Nature 558, 95 (2018).)
- [4] J. Wang, Y. K. Takahashi, and K. Uchida, Nature Commun. 11, 2 (2020).
- [5] K. Uchida et al., Phys. Rev. Lett. 125, 106601 (2020).
- [6] W. Zhou et al., Nature Mater. 20, 463 (2021).
- [7] G. E. W. Bauer, R. Iguchi, and K. Uchida, Phys. Rev. Lett. 126, 187603 (2021).
- [8] K. Uchida and R. Iguchi, J. Phys. Soc. Jpn. 90, 122001 (2021).
- 東京工業大学理学院・物理学系 ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点 共催