イベント・セミナー・講演会
量子計算機の開発は世界中で進められており、最近ではクラウドサービス等を通じて誰もがいくつかの実機を利用できる環境が整いつつある。同時に量子計算の有効活用法も模索されているが、そのような中で我々は特に物性物理における量子多体問題への量子計算の応用を探索している。その取り組みの一つとして最近、ミクロカノニカル集団のための量子古典ハイブリッド計算法を提案した[1]。この方法は、与えられたエネルギーを近似的に期待値としてもつ状態(ミクロカノニカル集団に対応する純粋状態)を、時間発展させたランダム状態のフーリエ変換により得るという考えに基づいており、このフーリエ変換における時間積分範囲のカットオフに相当する時間パラメタの逆数がミクロカノニカル集団のエネルギー殻の幅を定めている。計算の具体的な手順としては、ユニタリ 2-デザインに基づき用意したランダム状態に関して時間発展演算子および時間発展演算子とハミルトニアンの積の期待値を量子計算機で計算し、それらの期待値に関する時間積分等の処理を古典計算機で行うことで、エントロピーや温度等を得ることを想定している。セミナーでは本提案手法およびその古典シミュレーション結果[1]を中心に、我々がこれまで行った量子古典ハイブリッド計算法に関する研究を議論する。
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更新日:2023.01.10