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量子における粒子のプロファイルは、通常平面波を使い運動量の固有状態として定式化されています。 これは大変簡便で、幅広く使用されている処方箋ですが、一方で粒子の持つエネルギー局在性が全く記述不可能という不十分な点があります。この空間規格化不可能性が原因で、平面波での計算では、時間(及び体積)で平均化された、次元を持つ物理量としてしか量子遷移の頻度を計算することが出来ません。対して波束では、粒子の局在化の効果を含めた、完全な量子遷移の記述が、純粋な(次元を持たない)確率量として可能です。さて、ここで波束特有のー上述の"平均化"を超えたー効果は、実験で観測できるのかという疑問が起こります。
本講演では、kinetic threshold 近傍で発生するクォーコニウムの幾つかの崩壊過程に着目し、平面波としての計算では理解困難だった実験結果が波束の計算では説明可能なことを、波束を用いた計算法の基礎的な部分も含め、一からお話させていただきます。
更新日:2022.07.06