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磁場中の荷電粒子は、大きく分けて2種類のメカニズムにより磁化を示す。一つはゼーマン効果(スピン分裂)が誘起するスピン偏極であり、もう一つは軌道効果(サイクロトロン運動・ランダウ量子化)が誘起する軌道磁化である。更に相対論的効果を受ける粒子の場合には、磁場のゼーマン効果が軌道磁化を、軌道効果がスピン偏極を誘起するといった交差応答も存在し、その応答は「スピン-軌道帯磁率」によって特徴づけられる。スピン-軌道交差応答はディラック・ワイル粒子で顕著に現れ、そのスピン-軌道帯磁率は運動量空間内でのトポロジカルな構造(ベリー曲率)を反映している。
本講演では、相対論的なディラック・ワイル粒子が非相対論的粒子と共存している場合に、これらの粒子が示すスピン-軌道帯磁率について私たちの研究成果を紹介する。このような粒子の共存状態は、固体中のバンド混成によって実現される他、クォーク物質においてはライトクォーク(u,d)とヘビークォーク(c,b)の共存状態に対応する。最初に単純な2成分のモデルを用いた理論計算により、相対論的・非相対論的粒子の混成によってスピン-軌道帯磁率が変調を受けることを示す[1]。更に具体例として、ヘビークォークが不純物としてライトクォークと結合する「QCD近藤効果」の影響下での磁場誘起スピン偏極を扱う[2,3]。スピン-軌道交差応答により、ヘビークォークの磁場誘起スピン偏極が通常のゼーマン効果に比べて大幅に増大することを明らかにする。
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更新日:2022.05.16