- 日程
- 2022年1月24日(月)
- 時間
- 14:00-
- 場所
- Zoom*による開催(URL は下記をご確認ください。)
- 講師
- 濱崎 立資 氏(理化学研究所)
- お問い合わせ先
- 連絡教員:物理学系 西田 祐介(内線3614)
量子物理学・ナノサイエンス第331回セミナー
概要
孤立量子多体系がどのように熱平衡状態に達するかをミクロな動力学から理解することは、統計力学の基礎づけに関する重要な問題である。近年、冷却原子系などを用いた実験技術の発展により、ほとんど孤立した量子系のダイナミクスを制御・観測できるようになった。それに触発され、孤立量子系での熱平衡化の機構や条件が理論的にも急速に理解されている[1,2]。本セミナーでは、熱平衡化とその破れに関する基本的な事柄と近年の発展を、我々の研究も紹介しつつ述べる。
まず、熱平衡状態への緩和の一般的な条件について解説する。特に、エネルギー固有状態自体が熱的に振舞うと主張するEigenstate thermalization hypothesis (ETH)による、量子系特有の緩和機構について詳述する。次に、系の可積分性と熱平衡化の関係を解説したのち、保存量の個数が示量的に存在する系では非可積分系であっても熱平衡化が起こらないことを述べる[3]。また、近年注目されている、保存量が少なくてもETHが破れる現象であるHilbert space fragmentation [4]についても解説し、それが横磁場Ising模型の弱磁場極限で起こることを示す[5]。
- [1] J. Eisert, M. Friesdorf, and C. Gogolin, Nat. Phys., 11, 124 (2015).
- [2] L. D'Alessio, Y. Kafri, A. Polkovnikov, and M. Rigol, Adv. Phys. 65, 239 (2016).
- [3] R. Hamazaki, T.N. Ikeda, and M. Ueda, Phys. Rev. E 93, 032116 (2016).
- [4] S. Moudgalya, B. A. Bernevig, and N. Regnault, arXiv:2109.00548 (2021).
- [5] A. Yoshinaga, H. Hakoshima, I. Imoto, Y. Matsuzaki, and R. Hamazaki, arXiv:2111.05586 (2021).
*本 ZOOM セミナーに参加されます場合には、事前に下記より登録を済ませてください。
https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZUtc-qhqzsvGtNNsFCth3bIaarurqP5Qs4I
ご来聴を歓迎いたします。
- 量子物理学・ナノサイエンス先端研究センター 主催
- 東京工業大学理学院・物理学系 共催