イベント・セミナー・講演会
陽子や中性子 (総称して核子) のクォーク・グルーオン構造は強い相互作用を理解する上で重要な研究テーマであり、その様々な性質が活発に研究されている。1990年代の実験により、反uクォークと反dクォークの分布量の非対称性(d /u > 1) が明らかとなり[1]、このフレーバー非対称性の起源について多くの理論的モデルが提案され検証されてきた。例えば中間子雲モデルでは、核力を媒介するパイ中間子と同様に仮想的な中間子が核子の周りに生成し、その生成確率のフレーバー依存性から反クォーク分布の非対称性が生じる。米国フェルミ国立加速器研究所の SeaQuest 実験は、d /u を大きなBjorken x の領域で精密に測定することを主な目的としている。本実験は2021年2月に最初の d /u の測定結果を公開し、0.13 < x < 0.45 の広い領域でd とu の分布が非対称であることを観測した[2]。本結果は、大きな Bjorken x において過去の実験結果や幾つかの理論的モデルと異なっており、より大きなd /u を示している。本セミナーでは、先ず核子内フレーバー非対称度の実験的・理論的な研究背景を紹介する。そしてSeaQuest 実験の測定結果について、幾つかの理論モデルと比較しつつその意義を議論する。
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更新日:2021.03.18