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我々は、大きなカー非線形性を有するパラメトリック発振器(Kerr-nonlinear parametric oscillator, KPO)を基本素子とした量子コンピュータを理論的に提案した[1-3]。KPOは、パラメトリック励起振幅を徐々に大きくして真空状態から発振状態へと断熱的に変化させることで、2つの安定な発振状態の量子力学的な重ね合わせ状態(シュレディンガーの猫状態)を生成する。我々はこれを「量子断熱分岐現象(quantum adiabatic bifurcation)」と呼ぶ。上記の量子コンピュータはこの現象を基礎としていることから、我々はこの新規量子コンピュータを「量子分岐マシン(quantum bifurcation machine, QbM)」と呼ぶ。
QbMは、断熱量子計算に基づいてイジング問題を解くイジングマシンとして提案された[1]。その後、断熱変化を利用した量子ゲート操作によってユニバーサル量子計算にも使えることがわかった[2]。散逸を伴うQbMは、複数振動子系に拡張された量子加熱(quantum heating)を示し、量子ボルツマンマシンとしての応用も期待される[4]。
本セミナーでは、KPOおよびQbMの物理について解説する。
更新日:2018.12.07