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ホウ素を含む新規二次元物質群の創出と機能評価

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日程
2018年11月7日(水)
時間
11:00-12:00
場所
大岡山キャンパス別窓 本館2階 284A 物理学系輪講室
講師
近藤 剛弘 准教授(筑波大学 大学院数理物質科学研究科)
お問い合わせ先
連絡教員 物理学系 斎藤 晋(内線2070)

量子物理学・ナノサイエンス第57回特別セミナー

概要

グラフェンに代表される、原子一層から数層の非常に薄い厚さで構成される二次元物質と呼ばれる物質群は、通常の三次元物質に比べて表面積が大きく、機械的柔軟性があり、特異な電子状態を持っている場合が多く、新しい電子材料や触媒材料の候補として期待が高まっています。このような中、ホウ素と水素のみで構成される二次元物質(ボロファン)について理論的な研究が行われ、グラフェンを凌駕する優れた電子材料特性や水素吸蔵特性を有するという予想が、2011年と2016年に報告されました[1, 2]。我々は、2017年に二ホウ化マグネシウムに含まれるマグネシウムの正イオンをプロトンと交換することにより、これまでに無い、水素とホウ素のみで構成される新しい二次元物質が、室温・大気圧下という温和な条件で生成することを見出しました[3]。この物質は負に帯電したホウ素の二次元シート骨格とプロトンとにより構成され、H:B=1:1の組成比であることがわかり、得られたボロファンシートを「ホウ化水素シート」と名付けました。

ホウ化水素シートはプロトンを保持しており、150 から1200 ℃の幅広い温度範囲で水素分子を放出するため、理論予測されていた電子材料や水素吸蔵材料以外にも、固体燃料や固体酸触媒としての応用が期待できます。実際、最近の我々の研究ではホウ化水素シートが固体酸としての触媒作用を示し、300℃で選択率90%以上でエタノールをエチレンへ13時間以上転換するという結果が得られています。ホウ化水素シートは加熱により段階的に水素を放出している為、加熱処理後の試料の組成はH:B=1:1と異なっていることがわかっており、組成の異なる新しいシート物質となっている可能性があります。現在、これらの電子状態や構造や機能についても解析を始めています。講演ではホウ化水素の生成法、構造、電子状態、機能に関する解析結果や最近の評価結果の一部を紹介し、今後の展望を述べます。

   
  • [1] Abtew, T. A.; Shih, B.; Dev, P.; Crespi, V. H.; Zhang, P. Phys. Rev. B 2011, 83, 094108.
  • [2] Jiao, Y.; Ma, F.; Bell, J.; Bilic, A.; Du, A. Angew. Chem. 2016, 128, 10448.
  • [3] Nishino, H.; Fujita, T.; Cuong, N. T.; Tominaka, S.; Miyauchi, M.; Iimura, S.; Hirata, A.; Umezawa, N.; Okada, S.; Nishibori, E.; Fujino, A.; Fujimori, T.; Ito, S.; Nakamura, J.; Hosono, H.; Kondo, T. J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 13761
  • 量子物理学・ナノサイエンス先端研究センター 主催
  • 東京工業大学理学院・物理学系、「ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点」共催

更新日:2018.11.01

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