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近年、分数量子Hall状態やトポロジカル相の表面状態に対する深い考察から、2+1次元の臨界的なボゾン、フェルミオン系の間に新たな双対性が発見されている。このような双対性変換を純粋な格子系で明示的に書き下せる場合はまれであり、対応する問題を解析する方法も限られている。一方で、2+1次元量子系を量子細線あるいはTomanaga-Luttinger液体の接合系と考えることで、双対性変換を明示的に実行することができ、相互作用も1+1次元の場の理論で馴染みのある方法で取り扱うことができる。本講演では、1+1次元の場の理論の言葉を用いて、双対性のアイデアを分数量子Hall状態の階層構造に対して適用する。
階層状態はJain流の複合フェルミオンの整数量子Hall状態、あるいはHaldane-Halperin流の準粒子のBose凝縮として記述されることが、伝統的な波動関数やChern-Simons理論のアプローチで知られている。量子細線の方法は微視的なHamiltonianによって相補的な見方を与えるものである。時間が許せば、複合Fermi液体やPfaffian状態、その他の臨界的な理論への双対性の適用についても触れる予定である。
更新日:2018.04.11