- 日程
- 2018年2月20日(火)
- 時間
- 14:00-
- 場所
- 大岡山キャンパス 本館3階 H345 理学院第2会議室
- 講師
- 大森 賢治 教授(分子科学研究所)
- お問い合わせ先
- 連絡教員:物理学系 西森秀稔(内線2488)
量子物理学・ナノサイエンス第217回セミナー
概要
多数の電子や原子が相互作用する量子多体問題は、超伝導や磁性の発現から液体中の化学反応に至るまで多くの重要な物理・化学・生命現象を支配している。従って量子多体問題を理解することは現代科学の中心課題の一つである。しかし、量子多体問題を「厳密に」解くことは極めて難しいことが知られており、2020年に向けて開発が進められているポスト「京」スーパーコンピューターを使ったとしても、30粒子以上の量子多体問題は扱えないことがわかっている。仮に1000粒子であれば10の573乗年という天文学スケールを超えた時間がかかってしまう。
私達は、1000粒子以上の量子多体系のダイナミクスを近似無しに10億分の1秒以下でシミュレートできる世界唯一の「超高速量子シミュレーター」を、「アト秒精度のコヒーレント制御技術」[1-8]と「絶対零度付近までレーザー冷却した強相関リュードベリ原子集団」[9]という世界中で私たちだけが持っている二つの極限ツールを組み合わせて開発することを目指している[10]。
- [1] K. Ohmori et al., Phys. Rev. Lett. 91, 243003 (2003).
- [2] H. Katsuki and K. Ohmori et. al., Science 311, 1589 (2006).
- [3] H. Katsuki and K. Ohmori et. al., Phys. Rev. Lett. 96, 093002 (2006).
- [4] H. Katsuki and K. Ohmori et. al., Phys. Rev. Lett. 102, 103602 (2009).
- [5] K. Hosaka and K. Ohmori et al., Phys. Rev. Lett. 104, 180501 (2010).(Highlighted by Nature 465, 138 (2010);Physics 3, 38 (2010)).
- [6] H. Goto and K. Ohmori et al., Nature Physics 7, 383 (2011).(Highlighted by Nature Physics 7, 373 (2011); Nature Photonics 5, 382 (2011)).
- [7] H. Katsuki and K. Ohmori et al., Nature Commun. 4, 2801 (2013).
- [8] H. Katsuki and K. Ohmori et al., Phys. Rev. B 92, 094511 (2015).
- [9] N. Takei and K. Ohmori et al., Nature Commun. 7, 13449 (2016).(Highlighted by Science 354, 1388 (2016); IOP PhyscisWorld.com (2016)).
- [10] ]科研費・特別推進研究16H06289「アト秒精度の超高速コヒーレント制御を用いた量子多体ダイナミクスの探求」.
- ナノサイエンス・量子物理学国際研究センター 主催
- 東京工業大学理学院・物理学系、「ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点」共催