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大岡山キャンパス 本館1階 H155B 理学院セミナー室
物体の両端に温度差を付けると、両端間に起電力が発生する現象をゼーベック効果と呼び、ゼーベック係数はその効果の大きさを表す尺度である。ゼーベック係数はキャリアーあたりのエントロピーと関係する物理量であるため、熱力学第3法則から絶対零度では消失することが期待される。実際、金属のゼーベック係数は低温で温度に比例して減少し、絶対零度ではゼロになることが実験および理論の両面から確認されている。
一方、絶縁体のゼーベック係数の低温における振る舞いは、実験的には全く未解明であり絶対零度で消失するか否かは自明ではない。そこで我々は強相関有機絶縁体のゼーベック係数を極低温まで測定したところ、低温極限において巨大なゼーベック効果を見出した。
セミナーでは最近のバンド絶縁体に対するゼーベック係数の測定結果と併せて、絶縁体の低温熱電現象について紹介すると共に、それと電子相関との関わりについても議論したい。
更新日:2017.05.30